小特集 1. ドローン技術の背景,仕組み,発展

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Vol.101 No.12 (2018/12) 目次へ

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ドローンがもたらす新しい世界

小特集 1.

ドローン技術の背景,仕組み,発展

Background, Structure, and Development of Drone Technology

橋口宏衛

橋口宏衛 大同大学工学部機械システム工学科

Hiroe HASHIGUCHI, Nonmember (Faculty of Engineering, Daido University, Nagoya-shi, 457-8530 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.12 pp.1162-1166 2018年12月

©電子情報通信学会2018

1.ドローンとは

 ロボットの研究者にとってのドローンは,

 (1)Unmanned Aerial Vehicle(UAV):空中

 (2)Unmanned Ground Vehicle(UGV):地上

 (3)Unmanned Surface Vehicle(USV):水上

 (4)Unmanned Underwater Vehicle(UUV):水中

以上のように無人で移動するロボット全般を指しているが,本稿で取り上げるドローンはUAV(無人航空機)となる.国土交通省では,無人航空機を“飛行機,回転翼航空機,滑空機,飛行船その他政令で定める機器であって構造上人が乗ることができないもののうち,遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの”と定義しているが,近年はドローンと言えば固定翼機やシングルロータ(いわゆるヘリコプター)よりも,マルチロータを意味することが多くなっている.本稿ではドローンmathマルチロータとして取り扱う.

 ここで,民生用ドローンの歴史的ターニングポイントとなった3機のドローンを図1に示す.図1(a)は,日本のキーエンス社が1989年に発売したE-170ジャイロソーサで,4枚プロペラを持つ世界初のトイドローンである.当時は圧電振動ジャイロが一軸で20万円程度の時代だったため,独自の姿勢センサを備えている.真ちゅう製の小さなフライホイールを小形モータで回転させて地球ごまとし,ホール素子でその傾きを検知する仕組みになっている.

図1 歴史的なマルチロータ(ドローン)

 図1(b)は,フランスParrot社が2010年に発表したAR. Droneである.2008年に発売されたスマートフォンiPhone 3Gを利用して操縦する玩具として爆発的に売れた.それまでは航空標的や無人偵察機を意味していた“ドローン”という単語をマルチロータとして認知させたのはAR. Droneの影響が大である.中身も,ARMマイコンでLinuxを走らせ,下方カメラはOpticalFlowで外界をセンシング,Wi-Fiを使ってiPhoneにカメラ映像をストリーミングする技術は当時から先端的である.

 図1(c)は,中国DJI社が2012年に発売したPhantomである.それまでDJI社はシングルロータをドローン化する装置を開発する会社だったが,マルチロータの組立てキットの販売が好調だったことから,完成品としてPhantomを販売してみたところ爆発的なヒットとなった.GoProカメラを搭載し,美しい映像が撮影できる世界初の機体で,空撮ドローンの草分け的存在と言える.Phantomシリーズは累計100万台を突破し,“ドローンと言えばDJI”“ドローンといえばPhantom”として広く認知される結果となった.

2.ドローンの仕組み

 ドローン関連の講演をしていると“ドローンはラジコン(無線操縦の模型航空機)とは違うのですか?”と頻繁に質問される.確かに玩具店に売っているトイドローンは無線操縦であり,練習なしで飛ばすことは困難であるため,自律飛行できるロボットとは言い難い.


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