小特集 3-5 ドローンによるリアルタイム映像監視

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Vol.101 No.12 (2018/12) 目次へ

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ドローンがもたらす新しい世界 3. ドローンの活用事例

小特集 3-5

ドローンによるリアルタイム映像監視

Real-time Video Surveillance by Using Drones

里田浩三 吉田裕志 金友 大

里田浩三 正員 日本電気株式会社システムプラットフォーム研究所

吉田裕志 正員 日本電気株式会社システムプラットフォーム研究所

金友 大 日本電気株式会社システムプラットフォーム研究所

Kozo SATODA, Hiroshi YOSHIDA, Members, and Dai KANETOMO, Nonmember (System Platform Research Labs., NEC Corporation, Kawasaki-shi, 211-8666 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.12 pp.1191-1195 2018年12月

©電子情報通信学会2018

1.は じ め に

 2010年にParrot社が「AR. Drone」を発表し,ドローンの新たな応用として,映像の空撮が大きな話題になった.以来,ドローンは,整備点検,測量,災害調査などのため,高所や人が立ち入れない場所の撮影に利用されている.特に災害現場の調査や探索,都市警備などの監視用途では,記録するだけでなく,リアルタイムに映像を閲覧したいという要望が大きい.通常,ドローンにはドローンで撮影した映像を伝送し,操縦者の手元の端末機器で表示することができるFPV(一人称視点,First Person View)と呼ばれる機能を装備している.しかし,監視用途では,より高精細な現場映像の閲覧が要望されており,遠隔を飛行するドローンから電波を使って高精細な映像を伝送することが課題となる.

 ドローンでは,規制により決められた電波帯域しか利用できない.日本では,総務省が,無線局免許が不要な周波数帯として,ラジコン用(73MHz帯など),テレメータ用(920MHz帯),Wi-Fiで利用される2.4GHz帯を割り当てている(1).このうち大容量の映像を伝送するため,一般的に2.4GHz帯のWi-Fiが利用されている.しかし,ドローンと地上局(通常はユーザ端末)との間の1対1通信しかできないため,通信可能な距離は電波が到達可能な見通し内の300mから1km程度が限界である.

 危険な災害現場やビルなどの死角が多い都市部などの監視では,撮影対象に近寄れないこともあり,ドローンを目視外の遠方へ飛行させて撮影することが期待されている.2018年6月現在,国土交通省は,機体の状態を画像にて確認できること,目視外でも安全に運行するための技量訓練及び対策をしていることなどの要件を基に認可制で目視外飛行を許可している(2).今後,技術,環境の整備により規制緩和が望まれる.

 目視外のドローンから映像を伝送するため,電波到達距離に制限があるWi-Fiだけでなく,サービスエリアが広く,映像伝送が可能である携帯電話網の利用が期待される.しかし,携帯電話網は地上の携帯電話利用を想定して設計されているため,ドローンの携帯電話網利用は地上の携帯電話への影響を考慮する必要がある.この影響調査のため,携帯電話網をドローンで実験利用するための免許制が2016年に試験的に導入されている(3).国際的にも3GPPで“Enhanced LTE support for aerial vehicles”が議論されている(4).本報告では,空中では地上より多くの携帯電話網基地局からの電波干渉が観測され,スループット低下の可能性があることが報告され,ドローンからの電波干渉状態の通知の拡張による電波干渉を抑制する方式などが提言されている.

 以上のように,ドローンによるリアルタイム映像監視の実現に向け,Wi-Fiや携帯電話網などの電波資源を有効に活用して高精細な映像を伝送することが重要である.特にドローンでは見通しの距離,電波干渉や混雑の状況により,利用できる通信スループットが大きく変動する.本稿では,このような環境でも高精細な映像をリアルタイムに配信する技術と,本技術を用いた森林火災のユースケースを紹介する.


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