小特集 マイクロ波・ミリ波フォトニクス技術の新展開 編集にあたって

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Vol.101 No.2 (2018/2) 目次へ

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小特集

マイクロ波・ミリ波フォトニクス技術の新展開

小特集編集にあたって

編集チームリーダー 門 勇一

 光技術によりマイクロ波,ミリ波,及びテラヘルツ波を発生・検出する技術は,未利用周波数帯を開拓し,通信,計測,イメージング等への応用で注目されてきました.

 本小特集では,マイクロ波・ミリ波フォトニクス技術の新展開として注目される通信システムの高度化,集積化技術,テラヘルツ波帯の開拓,及びユニークな計測技術応用に焦点を当て解説します.

 最初に,通信システムの高度化について,次世代移動通信システム実現に不可欠な光無線融合技術を紹介します.

 第1章では,マイクロ波・ミリ波フォトニクス技術の考え方を分かりやすく解説することから始め,通信分野で当該技術が次世代システム構築の柔軟性や簡素化に大きく貢献することが期待され,国内外で活発に研究開発が進められていることを述べます.特に,次世代移動通信システムにおいて,ネットワーク接続された多数の基地局から成る構成が検討されており,光ファイバ通信と無線通信の更なる融合が強く期待されることから,このような光と無線の融合領域の開発の方向性を議論します.また,通信応用で関係する第2章から第5章との関係についても説明します.

 第2章では,ピーク速度が10Gbit/sを超える第5世代移動通信システムの実用化が近付いており,急増する移動通信トラヒックを光ファイバで効率的に収容するには,超大容量,低遅延などの次世代移動通信システムに適した新たな大容量・低コストの光アクセス技術が必要であることを解説します.まず,光通信及び移動通信の進展を概観した後,次世代移動通信システムにおける統合的な光無線融合技術の重要性を示します.

 一方,東京オリンピックを控え,空港における航空機の離発着の頻度がますます高まる中で,滑走路の安全確保は極めて重要です.第3章では,広大な空港の滑走路を監視するため,大気減衰の少ない90GHz帯のミリ波とRoF技術を組み合わせた滑走路異物検知用光ファイバ接続ミリ波レーダシステムを紹介します.

 第4章では,マイクロ波・ミリ波フォトニクス技術の実現手段として,低コスト化に加えて,高周波信号に対する安定性向上に寄与する光電子融合集積技術の動向を解説します.近年,この電子デバイスと光デバイスを融合して集積する技術はコンピュータ内の信号伝送を目的として,シリコンフォトニクスをはじめとするプラットホームを用いて精力的に研究開発が進められています.

 第5章では,21世紀に残された最後の周波数帯のフロンティアとして注目されているテラヘルツ波帯の開拓に向けて,フォトニクス技術の可能性を議論します.特に,フォトニクス技術が広帯域かつ高出力・高感度のシステム構築を実現し,無線通信と計測の分野にもたらすインパクトや今後の課題について述べます.

 最後の第6章では,光技術を利用したユニークな電磁界計測を紹介します.まず,光を用いた電磁界計測の歩みを解説し,携帯通信端末の比吸収率測定と,小惑星探査機「はやぶさ」に搭載されるイオンエンジン内のマイクロ波電界計測への興味深い応用を紹介します.

 以上の構成により,本小特集は,光技術を活用した通信システムの高性能化・高機能化,テラヘルツ波帯の開拓,ユニークな電磁界計測法,及びそれらの低コスト化と性能安定化を実現する光電子融合集積技術ついて分かりやすく解説しています.今回の特集を契機にマイクロ波・ミリ波フォトニクス技術の分野に関心をお持ち頂くことを期待します.最後に,御多忙の中で,執筆の御尽力を頂いた執筆者の皆様,本小特集の編集チームの方々,学会編集出版部の方々に深く感謝致します.

小特集編集チーム

 門  勇一  宮本 智之  斉藤 三長  林  哲也  平野 拓一  山田 隆宏  吉松 俊英 


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