小特集 4-4 新デバイスの動向

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Vol.101 No.4 (2018/4) 目次へ

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次世代を切り開く情報通信エネルギー技術
4.様々な情報通信エネルギー技術の動向

小特集 4-4

新デバイスの動向

The Role of Wide Bandgap Semiconductor Devices for Telecommunication Energy Technologies

谷内利明

谷内利明 正員:フェロー 東京理科大学工学部第二部電気工学科

Toshiaki YACHI, Fellow (Faculty of Engineering, Tokyo University of Science, Tokyo, 125-8585 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.4 pp.372-376 2018年4月

©電子情報通信学会2018

abstract

 情報通信機器のパワーエレクトロニクス回路では,スイッチ素子としてシリコン(Si)パワーMOSFETが広く用いられてきた.SiパワーMOSFETの性能向上は,微細化プロセスによるオン抵抗の低減で行われてきたが,材料特性に伴う技術限界いわゆるSi限界に達している.Si限界を超えるデバイス実現のため,シリコンカーバイド(SiC)や窒化ガリウム(GaN)を用いたワイドバンドギャップ半導体デバイスの開発が進められており,現在実用に供する段階に達しつつある.本稿では,この新デバイスの特性や特徴について概説する.

キーワード:パワーMOSトランジスタ,Si限界,ワイドバンドギャップ半導体,シリコンカーバイト,窒化ガリウム

1.パワー半導体デバイスの役割と特徴

 情報通信機器の動作は,コンバータやインバータ等のパワーエレクトロニクス回路を通じた電気エネルギーの供給によって行われる.パワー半導体デバイスはパワーエレクトロニクス回路の最も主要な部品で,ダイオード,サイリスタ,トランジスタに大別される.中でもトランジスタは,オフ状態からオン状態へ,オン状態からオフ状態へと自由に制御が可能な3端子デバイスである.パワーエレクトロニクス回路のスイッチングデバイスとして広く用いられている.パワーエレクトロニクス回路は,家電・情報通信機器から自動車,電車,産業機器,送電システムに至るまで広い用途を持つ.図1に各種パワーデバイスの変換容量と動作周波数の関係を示す(1).一般に変換容量と動作周波数(スイッチング速度)にはトレードオフの関係がある.送電システム等に用いられる大容量サイリスタでは動作周波数は低く,情報通信機器等に用いられる小容量パワーMOSFET(用語)では高速動作が可能である.

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