特集 2-8 遠隔作業支援を実現するICT

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.101 No.5 (2018/5) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


2. 働き方改革を支えるICT 
【生産性向上を支えるICT】

特集 2-8

遠隔作業支援を実現するICT

ICTs Realizing Remote Field Maintenance Assistance

菅野 勝 辻 智弘 柳原広昌

菅野 勝 辻 智弘 (株)KDDI総合研究所ソフトウェアインテグレーショングループ

柳原広昌 正員 (株)KDDI総合研究所メディアICT部門

Masaru SUGANO, Nonmember (Software Integration Laboratory, KDDI Research, Inc., Tokyo 102-8460), Tomohiro TSUJI, Nonmember (Software Integration Laboratory, KDDI Research, Inc., Fujimino-shi, 356-0003 Japan), and Hiromasa YANAGIHARA, Member (Media ICT Division, KDDI Research, Inc., Fujimino-shi, 356-0003 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.5 pp.498-503 2018年5月

©電子情報通信学会2018

abstract

 社会インフラの安定供給の要となる運用保守作業現場において,人材不足などの課題を解消することを目的としたICTの活用が期待されている.筆者らは映像,音声と拡張現実(AR)により,物理的に離れた場所でのインタラクティブな作業支援を可能にするシステムを開発した.処理能力が限られたスマートグラスなどでも動作する軽量な画像認識技術により,ARを滑らかかつ動きに頑健に追従させることができる.また,通信回線の帯域変動に自動的に追従する独自の伝送制御技術により,伝送品質が変動しやすいモバイル回線や帯域の狭い衛星回線でも安定した伝送を実現する.

キーワード:遠隔作業支援,拡張現実,スマートグラス,サイバーフィジカルシステム

1.は じ め に

 電気やガス,水道,通信など,我々の豊かな生活を支える社会インフラを安定的に供給するためには,運用保守作業が極めて重要な役割を果たす.これらの作業は精緻にマニュアル化されていないことが多く,長年の経験やノウハウに頼るところが大きい.その一方,運用保守に精通した熟練作業者の高齢化が進んでおり,人材不足が深刻な問題となりつつある.また,地震や台風などの大規模自然災害が発生した場合,インフラの供給設備に障害が生じる恐れがあるため,複数拠点において同時並行で作業を行い,復旧を加速させることが望ましい.これらの課題を解消することを目的として,ICTの活用が期待されている.ICTを活用することで,作業現場に行かずとも在宅で作業を支援することができたり,引退した熟練作業者が若手作業者を育成したりするなど,運用保守作業における働き方改革を実現できると考えられる.

 筆者らはスマートフォンやスマートグラスを利用し,映像や音声に加えて拡張現実(AR)により遠隔作業支援が可能なシステム「VistaFinder Mx」を開発した(1).ARはこれまでゲームなどのエンターテインメント分野での利用が主流であったが,本システムは作業支援という文脈でビジネス分野へ適用領域を拡大した.作業指示となる図形や文言を作業指示者が作成し,遠隔地にいる作業者側での作業対象物の映像に重畳することができる.つまり図1に示すように,映像,音声に加えてARを活用することにより,運用保守現場にいる作業者に対して,視覚的かつ直観的な手段で遠隔地から熟練者が作業指示を行うことができる.更に,遠隔から熟練作業者が複数の現場を一元的に管理,指示することにより,運用保守コストの削減と迅速な現場作業が実現できる.

fig_1.png


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録


  

電信情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電信情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。