小特集 9. 高臨場感映像の心理・脳活動・行動計測に基づく定量的解析・評価

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高臨場感映像・音響が創り出す新たなユーザ体験の評価技術

小特集 9.

高臨場感映像の心理・脳活動・行動計測に基づく定量的解析・評価

Quantitative Analysis and Evaluation of High-realistic Images Based on Psychological, Brain-activity-imaging, and Human Performance Measurements

安藤広志

安藤広志 国立研究開発法人情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター

Hiroshi ANDO, Nonmember (Center for Information and Neural Networks, National Institute of Information and Communications Technology, Kyoto-fu, 619-0289 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.8 pp.825-831 2018年8月

©電子情報通信学会2018

abstract

 高精細・立体・広視野等の高臨場感映像が人に対してどのような効果をどの程度与えるのかを明らかにするためには,多角的かつ定量的な評価手法の開発が不可欠と考える.本稿では,臨場感を既定する構成要素と技術開発アプローチについて述べた後,3D映像が引き起こす負の効果(視覚疲労)・正の効果(質感向上)に関する心理評価,VR等の動的な広視野映像が生起させる自己運動感覚に関する脳活動評価,実環境における高精細立体映像を用いた遠隔作業の行動評価を事例として,臨場感の解析・評価手法の先端動向について概説する.

キーワード:視覚疲労,質感,fMRI脳活動計測,自己運動感覚,遠隔作業

1.は じ め に

 高精細・立体・広視野といった,高い臨場感を人に伝える映像技術の開発が進められている.このような高臨場感映像技術の更なる発展と普及を目指すためには,人が臨場感をどのように感じているのか,その体感品質(QoE: Quality of Experience)を多角的・定量的に捉える手法の開発が不可欠と考える.

 本稿では,まず臨場感の構成要素と技術開発アプローチについて述べた後,高臨場感映像が人の感覚・感性に与える影響を定量的に捉える手法として,心理,脳活動,行動計測を取り上げ,筆者が取り組んできた評価研究の事例を紹介する.なお,「高」臨場感と「超」臨場感を異なる概念として捉える見方も存在するが,本稿では特に区別せずに用いることとする.

2.臨場感の構成要素と技術開発アプローチ

 臨場感は「あたかも物がそこに存在し,あたかも自分がその場にいるかのような感覚」と定義付けることができるが,その実体をより深く分析すると,臨場感は複数の構成要素の複合体として捉えることができる(図1)(1).これらの構成要素としては,立体感(物体の奥行・立体形状の知覚),質感(物体表面の滑らかさ・硬軟・光沢等の知覚),包囲感(空間的な広がり感・没入感)から成る「空間要素」,動感(環境の時間変化の知覚),因果感(ある事象が他の事象に起因すると感じる感覚),同時感(異なる事象の同期を感じる感覚)から成る「時間要素」,更に自己存在感(自己の身体状態の知覚),インタラクティブ感(働き掛けに対する反作用),情感(対象に対する快不快感覚)から成る「身体要素」を挙げることができる.

fig_1.png


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