特別小特集 2-2 研究者が特許を出した方がいい理由についての一考察

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特別小特集 2-2 研究者が特許を出した方がいい理由についての一考察

鮫島正洋 弁護士法人内田・鮫島法律事務所

Masahiro SAMEJIMA, Nonmember (Uchida & Samejima Law Firm, Tokyo, 105-0001 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.1 pp.17-20 2019年1月

©電子情報通信学会2019

1.研究者は特許を出すべきか,出さざるべきか??

 多くの研究者は特許について無関心であるか,無関心を装っている.理由は明らかである.論文は研究者としての評価につながるが,特許はそれほどでもない,という日本の研究者の文化風土である.事業化が数十年先の長期の研究,産業とは直接結び付かない基礎研究であれば,そのようなスタンスでもいいかもしれない.しかし,20年以内(注1)に実用化・事業化も考えるという性質の研究の場合,事情は異なってくる.

 事業化は企業で行われる.したがい,研究者の研究内容も事業化を計画する企業に開示され,事業化可能性が検討されることとなる.しかし,幾ら研究内容や技術が優れていたとしても,特許化されていない研究成果について,企業は事業化をためらう可能性がある.つまり,特許を申請した方が,自身の研究が事業化され,世の中に役立つ可能性が高くなる.そう聞いて,本稿が多くの研究者の興味の的になればいいのであるが….

2.企業類型別
――カーブアウト先企業が特許化された研究を望む理由――

 以下においては,研究者の研究成果を事業化するために,企業に対して技術移転したり,ライセンスしたりするケース(以下,「カーブアウト」という)を想定し,大企業・中小企業・ベンチャー企業といった企業類型別に特許の必要性を論じていく.

2.1 大企業に対するカーブアウト

 大企業が懸念することは,研究者の成果技術を事業化したときに,他社の特許侵害を構成して事業が継続できなくなることである.大企業は,このリスクを避けるべく,専門部隊である知財部を活用して法的リスクを徹底的に精査する.(この作業を「デューディリジェンス」と呼ぶ.)


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