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データセンターネットワークの最新動向
小特集 5.
B5G/6Gにおけるエッジコンピューティングの役割と超スマート社会への展開
Evolution of B5G/6G Empowered by Edge Computing towards Super Smart Society
Abstract
B5G/6G時代に創出される超スマート社会サービスプラットホームは社会に革新的発展をもたらすであろう.また,そのプラットホームを実現する主要技術がエッジコンピューティングである.そこで本稿では,B5G/6Gにおけるエッジコンピューティングの役割と超スマート社会への展開について概観し,更に東京工業大学大岡山キャンパスに構築しているB5G/6Gの実証フィールドとエッジコンピューティングを活用したアプリケーションの実装例を紹介する.
キーワード:B5G/6G,超スマート社会,エッジコンピューティング,実証フィールド
2020年に商用化された5G(第5世代移動通信システム)の特徴は,超高速,超高信頼低遅延,同時多数接続の三つである.しかし実際に市販の5G端末を用いてスピードテストなどを行うと,1Gbit/s以上の超高速通信や1msの超低遅延通信は達成されない場合がほとんどである.これはスピードテストなどのサーバがクラウドに設置されており,たとえ5Gのエアーインタフェースが超高速低遅延を達成したとしても,その上位のネットワークであるインターネット回線が性能を律速するためである.
ではどのような場合に5Gの特徴である超高速低遅延が達成できて,またその性能が達成できたときに5Gを特徴付けるサービスは何なのか考えてみる.その一つの例が図1に示す5Gを用いたV2X(Vehicle-to-Everything)によって実現される協調認知である(1),(2).ここでは5Gの特徴であるミリ波帯(3)を用い,また車々間を直接接続することで超高速低遅延通信を実現している.ここで自車(緑色)の視界は前方車(青色)によって完全にブロックされているが,前方車の視界は開けており対向車(赤色)を認知できる.そこで前方車のカメラやライダ(LiDAR: Light Detection And Ranging)などのセンサデータを超高速低遅延に自車に伝送し,自車のセンサデータと合成することで前方車を透視することが可能になり対向車を認知することができる.これを一般に協調認知と言い,超高速低遅延な5Gでしか実現できない技術である.すなわち5Gの高速低遅延性は,インターネットを介さないエッジ処理によりその力を発揮できるのである.
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