特別小特集 編集にあたって

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Vol.100 No.1 (2017/1) 目次へ

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編集にあたって

編集チームリーダー 伊東 匡

 情報通信網は人々の活動を支えるライフラインとして定着し,社会や産業の持続的発展に貢献する基盤として更なる高度化が進んでいます.ICT産業と呼ばれる企業は着実に増加し,ICTに関わる人口は確実に増加しています.そのような中,電子情報通信学会は今年100周年を迎えます.これまで本会は電話からインターネット,そしてICTへと進化する研究開発分野において多くの成果を上げるとともに,社会貢献をしてきました.ICT技術が日々の生活に浸透した今,今後も更なる社会貢献と持続的発展をしていかなければなりません.

 本特別小特集では,今後の本会の更なる発展の観点から,今後よりICTと深く関わっていくが,これまで本会とは比較的つながりが薄かった分野の方々から,将来ビジョンや方向性について語って頂くことにしました.本特別小特集の内容を通じて,今後会員の皆様が目指す方向性,活動方針,開拓すべき技術分野や進め方等を考える一助となれば幸いです.

 本特別小特集では,まずICT技術を活用して医療分野での課題解決に取り組んでいる友池氏,塚田氏,江崎氏,山口氏,井元氏,宮野氏に「社会課題を解く視点からの提言――人に尊重される健康と医療のデザイン――」と題し,現状直面している課題解決の観点や今後の技術開発及び活用の方向性の観点から,学術界への期待や要望も含めて語って頂きました.時代とともに変貌する医療の課題を示して頂くとともに,そのような状況下で生体センシングやゲノムに代表されるデータ解析技術や人工知能技術活用の状況と今後の方向性,更には医療現場へのICT適用における現状と方向性など,大変有意義な内容となっています.

 次に,グローバル通信ベンダ研究所の視点からの提言として,グローバル通信ベンダ研究所の代表とも言える,ベル研究所のトップ研究者であるKatherine GUO氏,Krishan SABNANI氏,Arun N. NETRAVALI氏に「Future of Edge Cloud」と題して,グローバル視点での将来ビジョンや方向性について語って頂きました.ネットワークを取り巻く環境はデータセンターに代表されるデータ処理集中化と,デバイスの高機能化等による情報発信元の多様化といった状況が今後ますます進化していくものと考えます.将来のネットワークに向けて,今回,ベル研のトップ研究者の取組みに触れることができるのは大変貴重な機会であると思います.

 続いては,スタートアップ系など,これまで本会が余り関わることができなかった分野のCTO級の方から,岡野原氏に「IoTと人工知能に基づく新しい社会」と題して,将来ビジョンや方向性について語って頂きました.IoTのターゲットを具体化するとともに,人工知能技術を積極的に活用することで,新たなサービスを自ら創出する取組みについて触れることは,今後の研究開発の進め方を考える上で大変参考になります.

 最後に,サービス事業者の視点からの提言として,ICTを活用しつつ,自社ノウハウ等と組み合わせて多様なサービスや付加価値の高いビジネスを創出している企業の方から.小田桐氏に「コンテンツプラットホームにおける機械学習,データセット公開・モデル公開による産学の発展」と題して,将来ビジョンや方向性について語って頂きました.コンテンツを一方向メディアではなく,新たなコミュニケーションメディアと捉え,そこから得られる様々な情報を分析・活用することで,コミュニケーションの価値向上を図るといった,ICT活用効果の最大化への取組みについて触れることができます.マーケットドリブンで技術がどのように活用されているかを知ることは今後の研究開発の方向性を考える上で大変参考になります.

 以上のように,本特別小特集の趣旨を御理解頂き,幅広い分野で執筆頂いた執筆者の皆様と,本特別小特集の実現に御協力頂いた編集チームメンバーの皆様に心から感謝致します.

 特別小特集編集チーム

 伊東  匡  植松 芳彦  小野 智弘  藤芳 明生  宮本 智之  山下 真司  山内 結子 


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