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医用画像(MI)研専の歴史は,のちに初代委員長となられる鳥脇純一郎先生(名大:当時)が発起人代表として1998年9月に設立趣意書(1)を提出されたことに遡る.また当時,医用画像分野は既に隆盛であったため,新規の設立ではあるものの第一種の研専となる可能性が高いといった状況も予見されていたようである.果たしてその設立は承認され,翌年1999年度から活動を開始し今日に至る.同設立趣意書には,当時の国内外の同分野の動向が詳細に分析・記述されており非常に興味深い.以下に一部を抜粋する.
① 膨大な質の高い画像情報(いわゆる医用画像)を効果的に利用した画像診断,最小侵襲による効果的な外科治療の研究開発に拍車がかかっている.
② 医用画像関連の小規模の学会はかなりあり(中略)医学関係者による独自の発足の経緯や担当分野があって,固有のルートを持たない若手の研究者・技術者・大学院生などは参加しにくい.
③ 医用画像は画像工学の対象としては最大の領域の一つ(中略),そこからの問題提起は画像情報一般の研究の活性化にも大いに役立つ.
④ 医用画像関連の新しい国際会議,学会が幾つも開かれ,本分野関連の活発な立ち上げが見られる.
約20年の時を経た現在,大きな変化が見られるのは②であり,このような垣根が取り払われ今日では当たり前となった「医工連携」が実現したのは,医工両分野で構成された歴代のMI研専委員を中心とした方々の大きな功績であると言えるだろう.
現在,設立当時から年5回の開催を継続し,他の専門委員会との共催や協力を含め,設立時の計画は着実に実行されている.また,今日では多くの医学系研究者も研究会に積極的に,時に発表者として参加していることも特筆すべきであろう.加えて,毎年1月(または3月)開催の「メディカルイメージング連合フォーラム」で多彩な学会・研究会と連携するとともに,本会英文論文誌の医用画像特集号の企画や,東アジアの各国による隔年開催の「International Forum on Medical Imaging in Asia」への協力(共通の会場にて同時開催または連続開催)など,国際的な展開も積極的に行っている.
医用画像は社会的に重要なメディアとして,現在もますます発展を加速している.その撮像原理から応用に至るまでの技術課題解決のための研究活動を支えるMI研専も今後も更に重要な役割を果たすと期待される.
(1) 鳥脇純一郎 (発起人代表),“研究専門委員会設立趣意書 (医用画像研究会),”Sept. 1998.
(平成29年5月14日受付)
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