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現在,日進月歩の勢いで電子情報通信技術が進化し,社会や日常生活の中でそれらの技術を活用したICT製品が普及してきている.今後5~10年の期間を考えてみても,更なる高速通信網技術,スマートデバイス技術,センサ技術,VR技術,AI技術などの進展,これらの技術を組み合わせた基盤環境の開発などによって,教育や学習を取り巻く大きな環境の変化が予測される.更に電子情報通信技術の進化・普及は,グローバル化やコミュニティの変化などに影響を与え,求められる人材育成像に関与することになる.複合的な問題を重層的なコミュニティの中で知識や考えを出し合い,解を導きその解やゴールを見直していける資質・能力が期待される中で,知識やスキルの獲得や定着だけでなく,思考力・判断力・表現力や情報活用能力の育成が必要とされ,このような資質・能力を育成するための教育や学習を支援するための技術開発が教育工学研究に求められている.
教育工学の対象分野は,従来の知的学習支援技術,協調学習技術,遠隔教育支援技術,学習評価支援技術,コミュニケーション支援技術,語学学習支援技術,オーサリング支援技術,メタ認知支援技術に加え,コミュニティ形成,知識共創,eポートフォリオ,eテスティング,データサイエンス,スマートデバイス,アクティブラーニング,反転授業,スキル学習,プログラミング教育,オープンエデュケーション,e-learning標準化,Learning Analytics,教育情報検索,電子教科書,オントロジー,ロボティクス,仮想/拡張現実感など取り組むべき対象分野や課題は多様化の一途をたどることになるだろう.
これらの分野やそこでの研究課題に取り組むために次の50年に向けてのキックオフとして,50周年研究会を中心に「学びの変化と新しい教育・学習支援技術特集号論文(和文論文誌D, 2018年6月号掲載)」などを企画している(1).
また,本研専が対象とする教育や学習の場面は,初等・中等教育から高等教育,特別支援教育,企業内教育,生涯学習や福祉など,その対象の広さも本研究会の武器になると考えられる.上述した論文特集案内に示されているが,本研専のポリシーは「学習・教育支援に関する研究成果を学際性豊かに受け入れて広く議論・共有すること」であり,情報補償などに対応した議論・共有の場を提供できる研究会でありたいと考えている.更に,本研専では,他学会の関連研究会や研究グループと協力して若手奨励企画を実施するなど若手研究者の育成にも力を入れているが,引き続き,学生や若手研究者が次の50年の教育工学研究の夢を追える企画を実施したいと考えている.
この先50年,社会の変化に対応する教育・学習・人材育成を支える支援技術の開発や理論・モデルの構築,教育実践手法の設計など,社会の期待に応えられる教育工学研究をより一層促進していきたいと考えている(1).
(1) 電子情報通信学会,“学びの変化と新しい教育・学習支援技術特集(和文論文誌D)論文募集,”http://www.ieice.org/jpn/books/ronbuntokushu/cfp_jd201806.pdf (2017年5月15日閲覧)
(平成29年5月17日受付)
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