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1.FPGA アクセラレーションを用いたアプリケーション実例
小特集 1-3
画像処理/学習,医療アプリケーションへの応用
――大腸NBI拡大内視鏡画像のリアルタイム診断支援システム――
An Adaptation for Medical Applications with Image Processing and Learning:
A Real-time Computer-aided Diagnosis System for Narrow Band Imaging Magnifying Colonoscopy
abstract
近年の大腸がん患者の増加に伴い,内視鏡を用いた診察時に症状を定量的に評価し,医師に評価結果を提示する診断支援(CAD: Computer-Aided Diagnosis)システムが求められている.開発している内視鏡診断支援のためのアルゴリズムは,特徴量抽出,特徴量変換,及び,タイプ識別の三つの処理から構成され,診察時に内視鏡からのフルハイビジョン画像を高精度かつリアルタイムに処理し,少なくとも1~5frame/s以上のスループット,1s以内のレイテンシを実現する必要がある.本稿では,FPGAが得意とするストリーム処理にてアルゴリズムを実装することによりリアルタイム処理を実現する内視鏡診断支援システムを紹介する.
キーワード:大腸内視鏡画像,診断支援(CAD: Computer-Aided Diagnosis), Bag-of-Features(BoF), Dense Scale-Invariant Feature Transform(D-SIFT),サポートベクトルマシン(SVM)
近年大腸がん罹患者数は世界的に増加の一途をたどっている(1).大腸がんは早期段階での発見,治療によりほぼ完治可能な病気でもあるが,大腸がんの最も一般的な診断方法である内視鏡検査においては,医師は大腸内壁の見た目の構造から腫瘍の有無や深達度を診断しなければならず,高い専門性が必要となり診断できる医師が限られてくる.そこで,症状を定量的に評価し,医師の診断を「セカンドオピニオン」として支援する診断支援(CAD: Computer-Aided Diagnosis)システムが求められている.これまでの検査方法の一つとして狭帯域光観察(NBI: Narrow Band Imaging)システムを用いた大腸拡大内視鏡検査が行われている(図1).この検査では,図2に示す正常粘膜,腺腫,粘膜下層多量浸潤がん・進行がんとの関連性が証明されている広島大学NBI拡大所見分類(2)に基づき識別を行う.我々は,この分類に基づく大腸NBI拡大内視鏡画像診断支援ソフトウェアシステム(3),(4)を開発している.現在,内視鏡画像においても高精細化が進み,フルハイビジョン画像(1,920×1,080pixel)が一般的になっており,医療現場からは,最低でも①フレームレートが1~5frame/s以上,②レイテンシ(画像表示タイムラグ)が1s以下,③腫瘍(タイプB,C)・非腫瘍(タイプA)の識別精度90%以上の性能が要求されている.
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