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可視光通信の最新動向
小特集 5.
可視光通信実用化技術
Practical Applications of Visible Light Communications
abstract
本稿では,可視光通信の実用化技術とそれを活用した製品について紹介する.まず,可視光通信の動向を示す.次に可視光通信を活用した製品として,アウトスタンディングテクノロジーの照明無線LANシステム,パナソニックの光IDソリューションであるLinkRay,富士通の可視光通信を利用したコンテンツ配信サービスであるFlowSign Light,カシオの色で情報を伝えるピカリコを取り上げ紹介する.また,本稿では,これら製品の背景にあるコア技術である,イメージセンサ通信,可視光ID,光OFDM,ローリングシャッタ方式も紹介する.
キーワード:可視光通信,イメージセンサ通信,可視光ID,光OFDM,ローリングシャッタ方式
可視光通信(VLC: Visible Light Communications)とは,LED(Light Emitting Diode)を人の目には分からないほど高速に点滅(変調)させることで情報伝送を行う通信のことである.LEDは半導体素子のため高速変調が可能である(1)~(3).LEDを単に照明光源として用いるだけでなく,同時に通信にも用いる「dual-purpose lighting」は,近年,世界中で注目を集めつつある.余談だが,LEDのことを可視光通信に掛けて「light emitting data」と呼ぶ者もいる.
可視光通信については,これまでも多数のメディアで取り上げられていた.しかしながら,どちらかと言うと通信の本流というよりは,「面白い通信技術」という扱いで,大手メーカも本腰を入れた研究開発,ましてや実際の製品化はこれからといった状況であった.
その状況が変わりつつある.
詳細は後述するが,10年前に欧州,米国で始まった光無線(OWC: Optical Wireless Communication)関連のプロジェクトで可視光通信に注目が集まり,それに呼応するかのようにIEEE Communications SocietyのフラグシップカンファレンスであるGlobecomでOWC Workshopが継続して開催されるようになった.また,可視光通信に関する特集論文も企画されるなど,関心を集めつつある.既に幾つかの可視光通信の標準化もできていて,可視光通信もこれまでの研究開発の段階から製品化の段階に入りつつある.
本稿では,可視光通信の実用化技術とそれを活用した製品について紹介する.具体的にはアウトスタンディングテクノロジーの照明無線LANシステム(4),パナソニックの光IDソリューションであるLinkRay(注1),(5),富士通の可視光通信を利用したコンテンツ配信サービスであるFlowSign Light(注2),(6),カシオの色で情報を伝えるピカリコ(注3),(7)を取り上げ紹介する.本稿では,それぞれの製品の詳細ではなく,その背景にあるコア技術にフォーカスを当てて,紹介していく.
本稿の構成は次のとおり.まず次章では,可視光通信の動向について簡単に紹介する.3.では可視光通信を活用した製品とその背景にあるコア技術について述べる.最後に4.でまとめる.
なお,本稿で紹介する各製品の詳細については,文献に記載するプレスリリース等を参照してほしい.
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