小特集 5. 可視光通信実用化技術

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.101 No.1 (2018/1) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


可視光通信の最新動向

小特集 5.

可視光通信実用化技術

Practical Applications of Visible Light Communications

山里敬也 岡田 啓

山里敬也 正員:フェロー 名古屋大学教養教育院基盤開発部門

岡田 啓 正員:シニア会員 名古屋大学未来材料・システム研究所システム創成部門

Takaya YAMAZATO, Fellow (Institute of Liberal Arts and Sciences, Nagoya University, Nagoya-shi, 464-8603 Japan) and Hiraku OKADA, Senior Member (Institute of Materials and Systems for Sustainability, Nagoya University, Nagoya-shi, 464-8603 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.1 pp.59-65 2018年1月

©電子情報通信学会2018

abstract

 本稿では,可視光通信の実用化技術とそれを活用した製品について紹介する.まず,可視光通信の動向を示す.次に可視光通信を活用した製品として,アウトスタンディングテクノロジーの照明無線LANシステム,パナソニックの光IDソリューションであるLinkRay,富士通の可視光通信を利用したコンテンツ配信サービスであるFlowSign Light,カシオの色で情報を伝えるピカリコを取り上げ紹介する.また,本稿では,これら製品の背景にあるコア技術である,イメージセンサ通信,可視光ID,光OFDM,ローリングシャッタ方式も紹介する.

キーワード:可視光通信,イメージセンサ通信,可視光ID,光OFDM,ローリングシャッタ方式

1.は じ め に

 可視光通信(VLC: Visible Light Communications)とは,LED(Light Emitting Diode)を人の目には分からないほど高速に点滅(変調)させることで情報伝送を行う通信のことである.LEDは半導体素子のため高速変調が可能である(1)(3).LEDを単に照明光源として用いるだけでなく,同時に通信にも用いる「dual-purpose lighting」は,近年,世界中で注目を集めつつある.余談だが,LEDのことを可視光通信に掛けて「light emitting data」と呼ぶ者もいる.

 可視光通信については,これまでも多数のメディアで取り上げられていた.しかしながら,どちらかと言うと通信の本流というよりは,「面白い通信技術」という扱いで,大手メーカも本腰を入れた研究開発,ましてや実際の製品化はこれからといった状況であった.

 その状況が変わりつつある.

 詳細は後述するが,10年前に欧州,米国で始まった光無線(OWC: Optical Wireless Communication)関連のプロジェクトで可視光通信に注目が集まり,それに呼応するかのようにIEEE Communications SocietyのフラグシップカンファレンスであるGlobecomでOWC Workshopが継続して開催されるようになった.また,可視光通信に関する特集論文も企画されるなど,関心を集めつつある.既に幾つかの可視光通信の標準化もできていて,可視光通信もこれまでの研究開発の段階から製品化の段階に入りつつある.

 本稿では,可視光通信の実用化技術とそれを活用した製品について紹介する.具体的にはアウトスタンディングテクノロジーの照明無線LANシステム(4),パナソニックの光IDソリューションであるLinkRay(注1),(5),富士通の可視光通信を利用したコンテンツ配信サービスであるFlowSign Light(注2),(6),カシオの色で情報を伝えるピカリコ(注3),(7)を取り上げ紹介する.本稿では,それぞれの製品の詳細ではなく,その背景にあるコア技術にフォーカスを当てて,紹介していく.

 本稿の構成は次のとおり.まず次章では,可視光通信の動向について簡単に紹介する.3.では可視光通信を活用した製品とその背景にあるコア技術について述べる.最後に4.でまとめる.

 なお,本稿で紹介する各製品の詳細については,文献に記載するプレスリリース等を参照してほしい.


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録


  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。