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高臨場感映像・音響が創り出す新たなユーザ体験の評価技術
小特集 1.
高臨場感・超臨場感通信サービスの将来像
Future Services of Ultra-realistic Communications
abstract
本稿では,臨場感とは何かから説き起こし,まずは超高精細映像技術から超臨場感コミュニケーション技術までの研究開発の展開を紹介する.更に,VR,ARなど,今後発展が期待される超臨場感技術において,どのような応用展開が想定されるか,周辺技術との関連にも言及しながら概説する.最後にまとめとして,こうした高臨場感・超臨場感メディアが作っていく将来について述べる.
キーワード:HDTV,スーパーハイビジョン,バーチャルリアリティ,五感情報通信技術
遠方の状況を細大漏らさず通信し,あたかもそこにいるがごとくの高い臨場感で体験できるようにすることは,通信技術の夢の一つである.月並みながら辞書を引いてみると,「臨場感:実際にその場に身をおいているような感じ」とある.
臨場感はどんな要素から成り立っているだろうか.例えば視覚において,①視界が広いこと,②その世界がくっきり見えること,③三次元世界として見えること,そして④その世界を自由にいじり回せることなど,幾つかの要件を考えることができる.
しかも①~④の要素は相互に関連する.例えば,三次元立体視のためには,視点に応じた複数画像が必要であり,8K画像も,IPなどの立体用として利用しようとすると,1視点当りの解像度は知れたものになってしまう.
人々が要求する臨場感も時代によって大きく変化する.「三丁目の夕日」という映画では,小さな画面の白黒テレビのプロレス中継に,家族や隣人が熱中する風景が描かれているが,現代の人々にとって,その体験は感動でも何でもないだろう.それどころか,スマホ世代の子供たちは,インタラクティブな映像が当たり前と思っている.どんな高精細度な映像を与えたとしても,画像の枠の外側に何か見たいものを見つけたとき指でスワイプしようとし,それに画像が反応しないときには落胆するかもしれない.
もちろん,臨場感の議論は視覚以外の感覚モダリティにも広がるわけで,五感全般に関わる話題であることは言うまでもないことである.
新たなシステムの将来像を考えるにあたって,関連する研究開発の歴史的経緯を知ることは重要である.本章では,筆者の一人である榎並が所属していたNHK放送技術研究所(以下,NHK技研)及び国立研究開発法人情報通信研究機構(以下,NICT)における高臨場感・超臨場感システムの技術開発とその評価に関する研究の歴史を紹介する.
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