小特集 2. 電子工作からエレクトロニクスへ――今の時代の研究開発――

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Vol.102 No.11 (2019/11) 目次へ

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回路とシステムの研究を「社会実装」するまで

小特集 2.

電子工作からエレクトロニクスへ

――今の時代の研究開発――

Electronics: From Hobby to Industries

秋田純一

秋田純一 正員 金沢大学理工研究域電子情報通信学系

Junichi AKITA, Member (Collage of Science and Engineering, Kanazawa University, Kanazawa-shi, 920-1192 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.11 pp.1008-1012 2019年11月

©電子情報通信学会2019

abstract

 古くは産業としてのエレクトロニクスとホビーとしての電子工作は不可分であったが,近年の回路技術の高度化に伴い,両者は近くて遠い関係となり,また,いわゆる「ものづくり離れ」が叫ばれるようになった.ところがオープンソースを起点とする様々な技術面,経済面,社会情勢の変化から,再び両者は密接に関係し,新たなイノベーションを生み出しつつある.本稿では,これらの歴史と現状を俯瞰し,議論する.

キーワード:ムーアの法則,メイカームーブメント,技術の民主化,集積回路

1.は じ め に

 電子回路を大学で教えていると,産業としてのエレクトロニクスとの関連が分からず勉学意欲が沸かない,という学生の声をよく聞く(図1).また時折,電子回路・集積回路の研究者からも,ムーアの法則が十分に成熟した時代になって研究テーマを探すのに苦労する,という声を聞くこともある.一方,古くからホビーとしての電子工作はあるが,勉学としての電子回路や,産業としてのエレクトロニクスにつながる例は少ない.

図1 電子回路の勉強とエレクトロニクスのかい離

 ICTからAIやIoTへ重心が移りつつあるエレクトロニクス産業の発展を支えてきた,半導体集積回路におけるムーアの法則は,コンピュータの高性能化という面に加えて,低価格化という側面がある.これは,単なるコンピュータの価格低下という効果のみならず,コンピュータ自体,更にはそれを取り巻く社会構造の質的な変化をもたらす可能性を持っている.従来は半導体と回路の専門技術者のみの道具であった集積回路において,集積回路の低価格化によって利用場面とユーザの質的な変化と拡大が現実に起こっており,それが新たな応用分野の開拓と発展につながっている.これは,言わば,集積回路の「民主化」とでも呼ぶべき現象であり,その結果,これまで近そうで交わることの少なかった,電子回路(理論)と電子工作(ホビー)とエレクトロニクス(電子産業)がシームレスにつながりつつある.本稿では,これらについて俯瞰し,その意義について議論する.

2.ムーアの法則がもたらしたもの


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