小特集 4. 光衛星通信の最新動向と今後の展望

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Vol.102 No.12 (2019/12) 目次へ

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新たな展開を見せる衛星通信・放送・応用技術

小特集 4.

光衛星通信の最新動向と今後の展望

Recent Trends of Space Laser Communications

豊嶋守生 宗正 康

豊嶋守生 正員:シニア会員 国立研究開発法人情報通信研究機構ワイヤレスネットワーク総合研究センター

宗正 康 正員 国立研究開発法人情報通信研究機構ワイヤレスネットワーク総合研究センター

Morio TOYOSHIMA, Senior Member and Yasushi MUNEMASA, Member (Wireless Networks Research Center, National Institute of Information and Communications Technology, Koganei-shi, 184-8795 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.12 pp.1089-1094 2019年12月

©電子情報通信学会2019

1.は じ め に

 近年,キューブサット級の超小型衛星で成功裏に光通信の軌道上実証がなされ(1),このクラスの衛星においても光通信が実現可能であることが示され,衛星通信分野において革新的な変化が起きつつある.光衛星通信は,高速・大容量化,小型・軽量化に適した特徴を有し,電波(RF)では達成できない大容量な通信手段として注目されており(2),近年,複数の非静止な小型衛星でグローバルに衛星通信サービスを行う衛星コンステレーションの構想が世界各国から数多く台頭してきている(図1).

図1 光衛星通信技術を用いた主な利用アプリケーション例

 本稿では,2.で世界における光衛星通信の研究開発動向を概観し,3.で超小型衛星による光衛星通信の研究開発動向や,近年ホットになってきている衛星コンステレーションの構想を紹介する.4.ではそれらの動向を利用周波数でマッピングして利用用途を分類し,技術内容を加味してマッピングし直し,衛星通信における今後の技術動向の展望を述べる.

2.世界における光衛星通信の研究開発動向

2.1 米国における研究開発

 米国においては,アメリカ航空宇宙局(NASA)の計画で,2.88Gbit/sの光データ中継衛星システムの実証プロジェクト(LCRD)を2020年8月に静止軌道(GEO)に打上げ予定である(3).通信方式は,波長1.5µm帯の差動位相変調(DPSK)方式を用いている.NASAは長期プランとして,2024年までに200Gbit/s以上の光通信の伝送速度を目指しており,GEO―GEO間では300Gbit/sを目指している.最近では,NASAは,2025年に国際宇宙ステーション(ISS)への直接的な予算配分終了を宣言する中,月への有人宇宙探査を長期目標として産業界連携及び国際協力等により「月軌道プラットフォーム―ゲートウェイ(LOP-G)」の構築を本格化している.2022年にはまず推進系モジュールの打上げを計画しており,高感度なパルス位置変調(PPM)方式を用いた光通信技術の利用も検討されている(4)


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