小特集 5. 社会を支えるインフラ衛星通信

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Vol.102 No.12 (2019/12) 目次へ

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新たな展開を見せる衛星通信・放送・応用技術

小特集 5.

社会を支えるインフラ衛星通信

Satellite Communications for Supporting Social Communication Infrastructure

山下史洋 井上雅広 三浦俊二

山下史洋 正員:シニア会員 日本電信電話株式会社NTTアクセスサービスシステム研究所

井上雅広 正員:シニア会員 (株)NTTドコモ ネットワーク部

三浦俊二 正員 (株)NTTドコモ 人事部

Fumihiro YAMASHITA, Senior Member (NTT Access Network Service Systems Laboratories, NIPPON TELEGRAPH AND TELEPHONE CORPORATION, Yokosuka-shi, 239-0847 Japan), Masahiro INOUE, Senior Member (Network Department, NTT DOCOMO, Inc., Tokyo, 100-6150 Japan), and Shunji MIURA, Member (Human Resources Management Department, NTT DOCOMO, Inc., Tokyo, 100-6150 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.12 pp.1095-1099 2019年12月

©電子情報通信学会2019

1.は じ め に

 一般に衛星通信の特徴は,①一つの衛星で広範囲をカバーできる(広域性),②地上の災害による影響を受けにくい(高信頼性),③地球局を設置すれば直ちに回線を開通できる(迅速性),の三つが挙げられる.近年,携帯電話やスマートフォンが普及し,地上ネットワークがないエリアに電話やインターネットサービスを提供する,バックホールとしての衛星通信の需要は世界的に堅調に伸びている.一例として,船舶や航空機は地上セルラネットワークではサービス提供が難しく,衛星通信が唯一の通信手段であるため,需要が伸びている.このような世界的にはブロードバンド通信サービス需要の増加から,近年100ビーム(用語)級のHTS(High Throughput Satellite)衛星の実用化や,数十~数千機の低軌道衛星を用いた衛星コンステレーション(用語)が次々と計画され,広域な通信インフラを衛星ネットワークで迅速に構築する流れが見られる.

 本稿では,図1に示すような衛星通信の利用シーンの中でも社会を支えるインフラ衛星通信に着目し,まず,通信事業者が衛星を用いて実際に通信サービスとして提供している離島向け固定電話・専用線と,可搬衛星地球局を用いた災害時の特設公衆電話サービスを説明する(1).続けて,主に船舶や災害時向けを利用した衛星移動通信サービスの概要を紹介する.

図1 社会を支えるインフラ衛星通信サービス


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