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新たな展開を見せる衛星通信・放送・応用技術
小特集 6.
衛星通信における電波伝搬研究
Radiowave Propagation Studies in Satellite Communications
1960年代にインテルサット衛星を経由したCバンド(6/4GHz)の国際衛星通信が開始され,引き続いてKuバンド(14/12GHz)とKaバンド(30/20GHz)の国内衛星通信利用が始まった.それに伴い衛星地球間の伝搬路で生じる諸問題について今まで数々の重要な電波伝搬研究が各機関でなされてきた.それらは常に世界の最先端に位置したものが多く,現在のITU-R勧告(1)等においても重要な役割を果たしている.本稿では筆者が大阪電気通信大学(大阪府寝屋川市)で長年にわたり行ってきた衛星電波伝搬研究を交えて,今まで日本で行われてきた伝搬研究の概略と最新の研究動向について述べる.特に周波数が10GHz以上のKuバンドやKaバンドで問題となる降雨減衰や交差偏波識別度(XPD)劣化を中心に研究成果の紹介を行う.
10GHz以上を用いる衛星回線では,電波の波長が雨滴直径(最大5mm程度)と同じオーダに近づき,雨滴の吸収や散乱によって生じる降雨減衰の影響が無視できなくなる.日本の国内衛星通信では,1970年代に地上のKuバンドマイクロ波回線との干渉を避けるため周波数の更に高いKaバンドの利用を世界に先駆けて開拓した経緯がある.したがって準ミリ波(20~30GHz)あるいはミリ波(30~300GHz)の降雨減衰に関する研究は当時世界をリードしていたと言える.郵政省電波研究所(現情報通信研究機構)の小口は偏平雨滴によるマイクロ波やミリ波の散乱と吸収による減衰と交差偏波(XPD)劣化の理論計算を行った(2).これらの計算結果は同研究所の鹿島局におけるCS伝搬実験(3)等で検証され,現在に至るまでITU-R勧告等における推定法の理論的根拠となっている.
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