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新たな展開を見せる衛星通信・放送・応用技術
小特集 7.
8Kスーパーハイビジョン放送の衛星伝送技術
Transmission Technology for 8K Ultra High Definition Television Satellite Broadcasting
2018年12月1日,新しい衛星放送サービスである新4K8K衛星放送がBS及び110度CSで始まった.NHK及び民間放送事業者による複数の4KチャネルとNHKによる一つの8Kチャネルで開始され,特に8Kチャネルは世界初の8K放送サービスである.4K及び8K番組は赤道上空約36,000kmにある放送衛星経由で日本国内に向けて放送され,直径45cm程度のパラボラアンテナで衛星からの電波を受信することにより,超高精細で臨場感あふれる放送サービスを日本全国で視聴することができるようになった.本稿では,8Kスーパーハイビジョン放送を含む新4K8K衛星放送を実現した衛星伝送技術について解説する.
4K8K放送は,現在の地上放送及び従来の衛星放送で使用されているハイビジョン(2K)に比べ,4Kは4倍,8Kは16倍の画素数を持つ超高精細な画質が最大の特徴である(1).また,解像度だけではなく速い動きをより滑らかに再現するためのフレームレートの増加や自然な色を再現するための色域の拡大,更に映像で表現できる明るさの範囲も向上している.音声については,最大22.2チャンネルの音声を提供することができ,水平方向に加え上下方向にもスピーカを設置することで,より高い臨場感が得られるようになっている.これらの情報を送ることによって高い臨場感を実現する一方で,その情報量の多さから8Kの信号をオリジナルのまま放送波で伝送することはできない.そのため,映像は符号化方式であるMPEG-H HEVC(High Efficiency Video Coding, ITU-T H.265)により,音声はMPEG-4 AAC(Advanced Audio Coding)により,情報伝送レートが圧縮されている(2).
これらの映像や音声は,MMT(MPEG Media Transport)・TLV(Type Length Value)方式を使用して多重される.MMTは,放送や通信などの複数の伝送路を経由して伝送された信号が共通の時刻情報を利用して同期再生できるような仕組みを備え,高度化した放送・通信連携サービスの実現を可能とする.TLVの多重化では,データの種類と長さを示す情報をヘッダに多重しており,MMTを格納したIP(Internet Protocol)パケットのような任意の可変長データを伝送することができる.映像・音声信号等はMMTパケット化された後にIPパケットで伝送され,最終的にTLVパケット形式で多重される.
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