小特集 8. 地球観測衛星のデータ伝送と利用動向

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.102 No.12 (2019/12) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


新たな展開を見せる衛星通信・放送・応用技術

小特集 8.

地球観測衛星のデータ伝送と利用動向

Data Transmission of Earth Observation Satellite and the Application Trend

内藤一郎

内藤一郎 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構第一宇宙技術部門

Ichiro NAITO, Nonmember (Space Technology Directorate I, Japan Aerospace Exploration Agency, Tsukuba-shi, 305-8505 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.12 pp.1109-1111 2019年12月

©電子情報通信学会2019

1.は じ め に

 地球観測衛星はデータ量が増大したことから伝送手段が多様化し,低軌道衛星から地上への直接伝送にKaバンドを利用し,静止軌道に配置した中継衛星を利用することが計画されている.また,近年は地球観測衛星データを科学的知見の獲得に利用するほか,防災や農林水産業等の現場で利用する社会実装が進んでいる.ベンチャー企業等で開始された新たなサービスを含め,衛星データの利用の現状について紹介する.

2.地球観測衛星とデータ伝送

2.1 データ発生量

 JAXAは1987年の海洋観測衛星「もも1号」(MOS-1)以降,多くの地球観測衛星を打ち上げてきた.地球観測衛星は,高度500~800kmを通過しながら地球を観測してデータを記録し,地上局上空で蓄積されたデータを地上に伝送する.性能の向上に伴い,衛星で取得して地上に伝送するデータ量も増加しているが,地上局と通信可能な時間は数分~10数分程度である.観測衛星のデータ発生レートは,初期のMOS-1が8.8Mbit/sであったのに対し,現在開発中の先進光学衛星(ALOS-3)及び先進レーダ衛星(ALOS-4)では,それぞれ5Gbit/s,6Gbit/sに達している.

2.2 直接伝送方式

 当初は地上局の可視範囲内で観測しながら地上に伝送していたが,地球資源衛星「ふよう1号」(JERS-1)では観測データレコーダに記録し,地上局上空でまとめて伝送するようになった.伝送速度はMOS-1では8.8Mbit/sだったが,陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)では16QAMの採用で800Mbit/sを実現した.ALOS-3ではKaバンドを採用することで1.8Gbit/sを実現し,ALOS-4ではKaバンドを2chとすることで3.6Gbit/sとしている(表1).


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。