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新たな展開を見せる衛星通信・放送・応用技術
小特集 8.
地球観測衛星のデータ伝送と利用動向
Data Transmission of Earth Observation Satellite and the Application Trend
地球観測衛星はデータ量が増大したことから伝送手段が多様化し,低軌道衛星から地上への直接伝送にKaバンドを利用し,静止軌道に配置した中継衛星を利用することが計画されている.また,近年は地球観測衛星データを科学的知見の獲得に利用するほか,防災や農林水産業等の現場で利用する社会実装が進んでいる.ベンチャー企業等で開始された新たなサービスを含め,衛星データの利用の現状について紹介する.
JAXAは1987年の海洋観測衛星「もも1号」(MOS-1)以降,多くの地球観測衛星を打ち上げてきた.地球観測衛星は,高度500~800kmを通過しながら地球を観測してデータを記録し,地上局上空で蓄積されたデータを地上に伝送する.性能の向上に伴い,衛星で取得して地上に伝送するデータ量も増加しているが,地上局と通信可能な時間は数分~10数分程度である.観測衛星のデータ発生レートは,初期のMOS-1が8.8Mbit/sであったのに対し,現在開発中の先進光学衛星(ALOS-3)及び先進レーダ衛星(ALOS-4)では,それぞれ5Gbit/s,6Gbit/sに達している.
当初は地上局の可視範囲内で観測しながら地上に伝送していたが,地球資源衛星「ふよう1号」(JERS-1)では観測データレコーダに記録し,地上局上空でまとめて伝送するようになった.伝送速度はMOS-1では8.8Mbit/sだったが,陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)では16QAMの採用で800Mbit/sを実現した.ALOS-3ではKaバンドを採用することで1.8Gbit/sを実現し,ALOS-4ではKaバンドを2chとすることで3.6Gbit/sとしている(表1).
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