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グローバル科学社会シリーズ──英国編──
小特集 1.
英国の科学技術情勢
Science and Technology in United Kingdom
abstract
ニュートンによる万有引力の発見,産業革命下の工学の目覚ましい発展,コンピュータ科学及び人工知能の父と言われるチューリングの業績等,英国には大学・研究機関・産業界における科学及び工学の研究開発と技術革新の歴史がある.本稿では英国の社会状況と科学技術情勢について述べる.
キーワード:英国,ICT
英国,正式にはグレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)は,西ヨーロッパ北部に位置するグレートブリテン島・アイルランド島北東部・その他多くの島々から成る同君連合型の立憲君主制国家である.イングランド,ウェールズ,スコットランド,北アイルランドの四つの国で構成されている.
古くはイングランドとウェールズは古代ローマ帝国のブリタニア属州であった.407年の西ローマ帝国のブリタニア撤退後,アングロサクソン王国を経て1066年に現在の連合王国に連なるノルマン朝イングランド王国が成立した.その後,1282年にイングランド王国によりウェールズ公国は併合され,1603年にはイングランド王国エリザベス1世の死去に伴いスコットランド王国のジェームズ1世がイングランド王を兼ね,二つの王国は同君連合となった.1707年に二つの王国は合同し,アイルランドとの合同(1801年)とその独立(1922年,北アイルランドを除く)を経て,現在の形の連合王国となった.
18世紀に起こった産業革命により,英国社会は大きく変化した.産業革命下では石炭に代表されるウェールズの豊富な地下資源が活用された.スコットランドは大西洋貿易の主要港となり,産業革命の中心地としての地位を確立した.イングランドは産業革命の中心となり,軽工業が発展した後に重工業が続いた.産業革命後,ローマ帝国下で西ヨーロッパが安定した時代「パクス・ロマーナ」になぞらえて,英国下でヨーロッパ中核地域が安定した「パクス・ブリタニカ」と呼ばれる時代に入った.19世紀のビクトリア朝時代は大英帝国がその繁栄をおう歌した一方,人口の集中した都市部は貧困・失業・栄養不良・犯罪・公害といった諸問題が発生した.
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