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スミスチャートの縮尺とポアンカレ距離
Non-Euclidean Navigator for the Wonderful World of Immittance
情報通信の高速大容量化はもちろんのこと,最近では,電力伝送のワイヤレス化に向けても巨大マーケットを見据えた研究が活発化しつつある.これらの発展には半導体デバイス・受動回路・アンテナなどのコンポーネントを有機的に組み合わせて高性能伝送システムを構築する「高周波工学」が鍵となる.
高周波工学においては各コンポーネント間の接続相性良否をイミタンス(注1)と反射係数で表現する.これらはいずれも複素量のため計算が煩雑である.そこで数式ではなく平面図形への写像で解を求める幾何的手法が編み出された.それがスミスチャートである(1),(2).
スミスチャートは高周波システムの設計や計測で汎用的に使われているが,その奥の深さゆえ完全活用されているとは言えない.本稿では非ユークリッド幾何学で教わる場所依存縮尺(局所縮尺)の概念を導入し,チャート上の異なる2点間の経路と距離について基本理解を深める.
高周波電圧が入力ポート1個を備える負荷(イミタンス:)に入射する系を図1に示す.正弦波交流理論に従ってイミタンスを実部と虚部に分解し
と書く.ここでは虚数単位である.これを図2に示すスミスチャートに写すと横軸が,外周円に沿った目盛がとなる.
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