特集 IoTの全て 編集にあたって

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Vol.102 No.5 (2019/5) 目次へ

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特集

IoTの全て

特集編集にあたって

編集チームリーダー 菊間一宏

 ここ数年でIoT(Internet of Things)への取組みが世界で注目を集めるようになり,日本でもSociety 5.0におけるIoTの役割が明記され,国を挙げて推進する姿勢が顕著になってきています.一方,IoTの意味する範囲が非常に幅広く,技術の観点でもサービスの観点でも社内や個々の分野に閉じたつながりをIoTとしているケースが多く,新たな産業創出のためには,IoT技術やサービスが分断された状態から,全てのものがつながる技術/サービスへの広がりが必要とされています.

 本特集では,これまで分断されてきた様々な技術領域を統合的に扱うため,通信プロトコル,センサなどのデバイスやエッジ/フォグコンピューティングといった最新のIoTの要素技術,そして,応用例としてサービス創出/構築/運用方法,ビジネスアプローチなどを第一線で活躍されている方々により解説して頂きました.

 まず,IoTを取り巻く技術や活用例に先立ち,第1章ではIoTの政策面やロードマップの観点を坂中靖志氏に,IoT関連技術の俯瞰的な概要を横谷哲也氏に紹介頂きます.

 第2章ではIoTを支える技術について,無線/デバイス/パワーマネジメント/エッジコンピューティング等といった観点から個々の技術について解説を進めます.IoT向け無線技術であるLPWA(Low Power Wide Area)の最新動向を高橋 幹氏らに,IoTデバイスを廉価に製造できる回路印刷技術を川原圭博氏に,IoTセンサデバイスに欠かせない高感度で小形,低消費電力の振動子技術について小野崇人氏に紹介頂きます.また,フィールドに点在するデバイス駆動のための低消費電力化に向けては,太陽電池を活用したパワーマネジメント技術を中本裕之氏に,超低消費電力を実現するLSI技術を阪本利司氏らに紹介頂きます.更に,膨大なIoTデバイスからの情報を広帯域かつ低遅延で流通させるためのエッジ/フォグコンピューティング技術を菅原真司氏に,同様に膨大となるNTP(Network Time Protocol)の処理技術を藤村 丞氏に紹介頂きます.

 第3章ではIoTの活用/応用について各分野での具体的な事例の紹介を進めます.自動車分野の応用としては車両間協調センシングや遠隔自動運転等の研究開発事例を牧戸知史氏に,小売分野の応用としては高速決済可能な画像認識POSシステムの運用例を岩元浩太氏らに,放送分野の応用としては放送コンテンツとデバイス間の連携サービスの研究例を小川展夢氏に紹介頂きます.また,地域,自治体との連携推進例として,富士登山者安全管理等への適用事例を南 雄也氏らに,相模原市の“さがみはらIoT研究会”による地域産業への技術導入事例を加藤聖隆氏に紹介頂きます.更に,建設分野の応用としてIoTプラットホームを活用した建設現場の工程/品質等の管理事例を仲田正一氏に,製造分野での応用として製造現場での工程管理/コスト削減事例を小林靖典氏に紹介頂きます.

 このように活用/応用が進むIoTにおいて,本格展開を促進するにあたっては顕在化するセキュリティの脅威に対応する技術が必要となります.第4章ではまず始めにIoTセキュリティを網羅する観点から「認証」「構成管理」「検知」「対応」技術を諸橋玄武氏らに紹介頂き,続けて,マルウェア等に感染しやすいパワーの貧弱なIoT機器への改ざん検知技術適用手法について佐々木貴之氏らに,マルウェア感染状況や事例を笠間貴弘氏に紹介頂きます.

 第5章ではIoTの最新の標準化状況として,W3Cでの動向を芦村和幸氏に,ITU-T/ISO/IECでの動向を櫻井義人氏に紹介頂きます.

 最後に,多忙な中,執筆の御尽力を頂いた執筆者の皆様に深謝申し上げます.また,編集委員で構成される特集編集チーム及び他ワーキンググループ編集委員の皆様から記事構成や執筆候補者の提案及び調整など,多大な御協力を頂きました.この場をお借りして深く感謝申し上げます.

特集編集チーム

 菊間 一宏  齋藤  恵  菅原 真司  井出 真司  岡田  啓  葛西 恵介  熊谷 太一  小島 政明  小林 崇春  芝  宏礼  高橋 英憲  東村 邦彦  西本 研悟  牧 謙一郎  増野  淳  町澤 朗彦  八木 秀樹  四方 博之 


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