特集 2-5 NanoBridge技術を用いた超低消費電力LSI

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.102 No.5 (2019/5) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


2. IoTを支える技術

特集2-5

NanoBridge技術を用いた超低消費電力LSI

Low-power LSI Using NanoBridge Technology

阪本利司 宮村 信 多田宗弘

阪本利司 日本電気株式会社システムプラットフォーム研究所

宮村 信 正員 日本電気株式会社システムプラットフォーム研究所

多田宗弘 日本電気株式会社システムプラットフォーム研究所

Toshitsugu SAKAMOTO, Munehiro TADA, Nonmembers, and Makoto MIYAMURA, Member (System Platform Research Laboratories, NEC Corporation, Tsukuba-shi, 304-8501 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.5 pp.408-412 2019年5月

©電子情報通信学会2019

abstract

 NanoBridgeを適用した超低消費電力LSI技術について紹介する.NanoBridgeは,Cu原子が電圧の印加によって電極間の固体電解質中に架橋を形成・消失する現象を利用した抵抗変化形スイッチであり,大きなオンオフ抵抗比,各状態が不揮発という特徴を有する.NanoBridgeを用いたプログラマブルロジック(FPGA)の構成と,アプリケーション回路の動作における消費電力と動作速度の優位性について述べる.

キーワード:プログラマブルロジック,FPGA,抵抗変化素子

1.は じ め に

 IoT(Internet of Things)によって社会課題が解決され,生産の効率化や,安心で快適な生活が実現されることが期待されている.IoTを支えるのはセンサ技術,ネットワーク技術,更に情報処理技術(Information Technology, IT)である.特に,リアルタイム性や通信データ量の削減のために,センサ端末(エッジ)側におけるデータの解析と価値のあるデータの取出し,送信データの圧縮処理などの情報処理技術が重要になってくる.端末側における情報処理は,高い電力性能比,リアルタイム性,耐環境性などクラウド側における情報処理とは異なる特性が求められる.

 一方,情報処理を担う集積回路は微細化の限界,発熱の問題(または消費電力の増大)に直面しており,CPUに代表されるノイマン形コンピューティングでは更なる電力性能比の向上が困難になってきている.また,電力性能比が高い特定のアプリケーションに特化した専用集積回路(ASIC)は,柔軟性(またはプログラマビリティ)に乏しいこと,また,集積回路を開発するための高額な費用が課題となっている(図1).

図1 集積回路の柔軟性と電力効率の関係


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録


  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。