特集 2-7 IoTと公開NTPサービス

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Vol.102 No.5 (2019/5) 目次へ

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2. IoTを支える技術

特集2-7

IoTと公開NTPサービス

IoT and Public NTP Service

藤村 丞

藤村 丞 福岡大学情報基盤センター

Sho FUJIMURA, Nonmember (Information Technology Center, Fukuoka University, Fukuoka-shi, 814-0180 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.5 pp.418-422 2019年5月

©電子情報通信学会2019

abstract

 福岡大学ではGPSを用いた日本初の公開用NTPサーバを1993年(平成5年)10月から運用しており,今年で26年目に入った.この間,NTPトラヒックが日々増加していると同時に,キャンパスネットワークが停止するなど様々な問題が生じてきている.本稿では,この公開NTPサービスについての現状と問題点,課題,IoTの関連性などについて福岡大学での例を述べる.

キーワード:NTP,トラヒック,クライアント実装,IoT

1.は じ め に

 福岡大学では1993年(平成5年)10月から,全世界に向けて日本初のGPSを用いた公開NTP(用語)サービスを開始し,26年目に入った現在もサービスの提供を行っている.だが,この25年間でトラヒックは増加の一途をたどっており,2013年(平成25年)頃からこの公開NTPサービスのトラヒックに起因したキャンパスネットワークに対する障害が数回発生し,インターネット接続が行えなくなった.

 本稿では,この公開NTPサービスについての現状と問題点,現状分析,課題,IoT機器との関連性などについて福岡大学での例を述べていく.

2.公開NTPサービスの背景

 1992年頃(平成4年頃)の福岡大学では,大形計算機を学内の各所と同軸ケーブルで結んだ中央集中形(スター形)の構成であった.この頃の計算機は,起動後に正確な時刻を手動で設定する必要があった.あるときこの時刻を間違えて設定してしまったことがあり,この時刻設定を自動化する仕組みを整えれば設定ミスを防ぐことができると考え,自動的に時刻同期をする仕組みを整えることにした.当時,郵政省の標準電波を利用した短波受信機では実用に耐え得る精度が出なかったため,GPS受信機から時刻情報を取り出し,それをコンピュータにて自動化する仕組みを整えた.また,この頃日本国内ではまだ一般向けのNTPサービスが提供されていなかったので,1993年(平成5年)10月から一般公開し運用している.現在運用中の公開用NTPサーバは,以下の二つのIPアドレスである.

133.100.9.2(clock.nc.fukuoka-u.ac.jp)

133.100.11.8(clock.tl.fukuoka-u.ac.jp)

 NTPサーバのFQDNとIPアドレスは,サービス運用開始時から現在も変更していない.また,この2台の公開用NTPサーバは,2004年(平成16年)9月から2018年(平成30年)8月までntp.orgのPublic Time Server Listsに掲載されていた.

3.ネットワーク構成(2015年8月まで)


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