小特集 1-1 関連分野概観

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Vol.102 No.8 (2019/8) 目次へ

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1. 生体機能の計測・評価に関連する各分野の現状

小特集1-1

関連分野概観

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木竜 徹

木竜 徹 正員

Tohru KIRYU, Member.

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.8 pp.750-753 2019年8月

©電子情報通信学会2019

abstract

 生体機能の計測・評価は,身体の状態を測りそれに応じた対処を可能とするため,リハビリテーションやスポーツへの応用において有用な基礎技術となっている.本小特集では,技術要素としては電子情報通信学会と関連の深いセンシング技術や情報処理技術が用いられている生体機能計測・評価の現状と今後の課題について解説する.ここで,生体機能計測・評価とは,生体機能を観測し,生体機能がどのような状態にあるか,例えば生体機能の疲労やストレスがどの程度の水準にあるか,について客観的に見積もることを言う.

キーワード:生体機能,計測・評価,時間スケール,時変性

1.生体機能計測とは

 人は自らの身体についてどれくらい自覚して動作しているだろうか.立つ,座る,物を持つ,歩く,走るなどの日常生活あるいはスポーツにおいて,自らの身体の生体としての活動を全て自覚しているかと言うと,そうではないだろう.例えば,筋の疲労については,人はある程度自覚できるだろう.しかし,その疲労が生理的にどの程度の水準なのか,自覚することは難しい.また,疲労を自覚していないときに比べどの程度筋力を維持できない状態になっているかを自覚することは更に難しい.

 人は疲労やストレスを自覚し,それらが重度であると自覚した場合は,休むという判断をするだろう.しかし,主観には個人差があり,それに由来して二つの問題が考えられる.一つ目は,人によっては重度な疲労やストレスを自覚できないという問題である.この場合,自覚することなく,筋力を維持できない状態になるリスクがあるのである.このようなリスクを専門用語で破綻リスクと呼ぶ.もう一つは疲労が自覚できたとしてもその疲労の度合いを見誤るという問題である.過小に見誤れば,やはり破綻リスクがある.一方,過大に見誤れば,まだ筋力が維持できるのに休んでしまうという運動能力を十分発揮できない状態になる.したがって,主観による生体機能評価を補う客観的な計測手法が必要となる.


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