小特集 1-2-2 筋電図を用いた身体運動の計測・評価

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Vol.102 No.8 (2019/8) 目次へ

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1. 生体機能の計測・評価に関連する各分野の現状

小特集

1-2 身体動作の計測・評価

1-2-2筋電図を用いた身体運動の計測・評価

Measurement & Evaluation of Body Motion with Electromyogram

増田 正

増田 正 福島大学共生システム理工学類

Tadashi MASUDA, Nonmember (Faculty of Symbiotic Systems Science, Fukushima University, Fukushima-shi, 960-1296 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.8 pp.758-761 2019年8月

©電子情報通信学会2019

abstract

 筋の活動度を知る方法として筋電図がある.近年は電極と増幅器を一体化した装置が普及し,電気的な特性も改善され,雑音のない筋電位信号が容易に記録できるようになった.一方で,筋電位の発生機構に対する知識の不足のために,不適切な使用例も度々目にする.ここでは,筋電位の発生機構を踏まえて,電極設置位置に関する注意について述べるとともに,筋電位の筋線維上の伝搬特性を積極的に活用したアーチファクト(人工物)の識別や,対象外の筋からのクロストーク(混線)を検知する方法について解説した.

キーワード:筋活動度,筋電位,表面筋電図,多点表面電極,神経支配帯

1.は じ め に

 筋の活動度を知る方法の一つとして筋電図がある.心臓の活動に伴って心電位が,脳の活動に伴って脳波が発生するのと同様に,脳からの運動指令などにより筋が活動すると筋電位が発生する.この電位を,電極を通して計測・記録したものが筋電図である.電極を皮膚表面に設置した場合には表面筋電図と呼ばれる(1)

 筋電位の計測装置は,古くはロッカーのようなサイズであったが,近年はマッチ箱よりも小さな装置が普及し,電極と一体化された回路で増幅とディジタル変換まで行い,パソコンに無線で送信するタイプも標準的になってきた.電気的な特性も改善され,皮膚に対する前処理を行わなくても,雑音のない筋電位信号が容易に記録できるようになってきた.

 一方で,筋電位の発生機構に対する知識の不足のために,不適切な使用例も度々目にする.ここでは,筋電位の発生機構を踏まえて,電極設置位置に関する注意について述べるとともに,筋電位の筋線維上の伝搬特性を積極的に活用したアーチファクト(人工物)の識別や対象外の筋からのクロストーク(混線)を検知する方法について解説した.


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