小特集 4-2 長時間モニタリングによる日常生活下循環動態評価の課題

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Vol.102 No.8 (2019/8) 目次へ

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4.健康・スポーツにおける生体機能の計測・評価の現状と今後

小特集4-2

長時間モニタリングによる日常生活下循環動態評価の課題

Issues of Circulatory Dynamics Assessment by Long-term Monitoring under Daily Life

早野順一郎

早野順一郎 名古屋市立大学大学院医学研究科医学・医療教育学分野

Junichiro HAYANO, Nonmember (Graduate School of Medical Sciences, Nagoya City University, Nagoya-shi, 467-8602 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.8 pp.805-808 2019年8月

©電子情報通信学会2019

abstract

 ウェアラブル生体信号センサの発展は,モニタリング時間の量的増加のみでなく取得される情報の質的変化をもたらした.日常の自由行動下で測定される長時間心拍変動は,コントロールされた条件で測定される短時間心拍変動で確立された自律神経機能評価法をそのまま適用することはできないが,その一方で,短時間心拍変動からは得られない基底心拍数や健康リスクの把握,睡眠時無呼吸のスクリーニングなどに有用な情報を含んでいる.心拍変動を中心に,長時間モニタリングによる生体機能評価の課題と有用性について述べる.

キーワード:心拍変動,自律神経,心電図,循環調節,健康リスク

1.心拍変動とは

 心拍変動とは心臓の1拍ごとの拍動間隔に見られる生理的な変動(揺らぎ)を指し,不整脈ではない正常な調律下の心電図のR-R間隔(用語)(Normal-to-Normal, NN間隔)の変動から計測される.心臓のペースメーカ・リズム自体には揺らぎはなく,心拍変動の起源は脳にあって自律神経(用語)を介して心臓に伝達される(1).心拍変動の大きさを表すNN間隔の標準偏差(SDNN: Standard Deviation of NN intervals)やスペクトル分析によって得られる低周波数(LF, 0.04~0.15Hz)成分や高周波数(HF, 0.15~0.45Hz)成分などの周波数成分のパワーが心臓を調節する自律神経機能と関連することが1980年代に発見され(2),(3),以来,心拍変動は代表的な自律神経機能評価法として広く認識されるようになった(4).ただ,この方法は長時間心拍変動については確立されていない.

2.心拍変動の短時間解析と長時間解析


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