小特集 1. IoE社会に貢献するワイヤレス電力伝送技術

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Vol.103 No.10 (2020/10) 目次へ

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IoE(Internet of Energy)社会のエネルギーシステム

小特集 1.

IoE社会に貢献するワイヤレス電力伝送技術

Wireless Power Transmission Technologies to Realize Internet of Energy Society

庄木裕樹

庄木裕樹 正員:フェロー (株)東芝研究開発センター

Hiroki SHOKI, Fellow (R & D Center, Toshiba Corporation, Kawasaki-shi, 212-8582 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.103 No.10 pp.1009-1015 2020年10月

©電子情報通信学会2020

abstract

 内閣府が提唱するSociety 5.0(超スマート社会)において,エネルギーの供給情報,消費情報がインターネットにより結合され,エネルギー需給が管理されるIoE(Internet of Energy)社会の実現が重要な課題の一つになる.内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の第2期の課題「IoE(Internet of Energy)社会のエネルギーシステム」では,IoE社会実現に貢献するワイヤレス電力伝送(WPT)の研究開発に取り組んでいる.本稿では,SIP第2期におけるWPT関連の取組み概要について紹介する.

キーワード:超スマート社会,IoE社会,ワイヤレス電力伝送,戦略的イノベーション創造プログラム

1.は じ め に

 ワイヤレス電力伝送(WPT: Wireless Power Transmission/Transfer)技術は既にスマートフォンの充電用途などで実用化されている.今後は,図1に示すように,WPT技術の大電力化,遠距離化,高効率化,高安全性化が進み,電気自動車(EV)や各種センサやモバイル機器などあらゆる電気機器・電動機器の充電や給電用途として広く利用されると考えられる.内閣府が提唱するSociety 5.0(1)の実現にも,WPTは大きく貢献すると考えられ,内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の第2期(2018年度から2022年度までの5年間)において,WPTシステムの早期の社会実装に向けた検討(2)が進められている.本稿では,まず,WPT技術方式の概要について触れ,次に,目指すべきIoE(Internet of Energy)社会の将来像とその中でのWPTの位置付けについて述べ,SIP第2期でのWPTに関わる研究開発の取組み状況について説明する.

図1 既に実用化されているWPT技術と今後の発展

2.WPT技術の概要

 WPTには幾つかの技術方式があり,利用周波数,電力伝送電力,電力伝送効率,電力伝送距離などに特徴があり,各々の性能により使い分けがされている.図2~5に,SIP第2期で研究開発されている電磁誘導方式,磁界共振方式,電界結合方式,マイクロ波空間伝送方式の各WPT方式の概要,特徴,用途などについて各々示す.磁界共振方式については,磁界(磁場,磁気)共鳴方式などと呼ばれることもあり,更に,電磁誘導方式と統合して磁界結合方式とも呼ばれる.また,電界結合方式については,磁界共振方式と同様,共振回路となるように形成した方式を電界共振方式と呼ぶこともある.マイクロ波空間伝送方式は,他の方式に比較して伝送距離が大きくできる一方,電力伝送効率はかなり低い.理論的には,電力伝送効率を高くすることは可能ではあるが,それには送受のアンテナをかなり大きくする必要がある.


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