小特集 2. WPTシステム実現のための高周波GaNパワーデバイス

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IoE(Internet of Energy)社会のエネルギーシステム

小特集 2.

WPTシステム実現のための
高周波GaNパワーデバイス

High Frequency GaN Devices for Realizing Wireless Power Transmission System

天野 浩

天野 浩 名誉員 東海国立大学機構名古屋大学未来材料・システム研究所未来エレクトロニクス集積研究センター

Hiroshi AMANO, Fellow, Honorary Member (Institute of Materials and Systems for Sustainability, Nagoya University, Nagoya-shi, 464-8601 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.103 No.10 pp.1016-1022 2020年10月

©電子情報通信学会2020

abstract

 ワイヤレス電力伝送システムの社会実装の意義と,その中でGaN高周波パワーデバイスを用いる必然性,及び社会実装を加速するためのSIPプログラムでの取組みについて紹介する.

キーワード:GaN,ワイヤレス電力伝送,高周波パワーデバイス,高移動度トランジスタ,MOSFET

1.は じ め に

1.1 なぜワイヤレス電力伝送が必要か

 小形の通信機器のみならず,貨物・旅客システムに至る大電力のワイヤレス電力伝送(WPT: Wireless Power Transmission)システムが21世紀の社会システムに必要不可欠な理由は,コンセントにプラグを差し込まなくても充電できる簡便さや,充電切れの心配のない安心感を得るためだけではない.CO2排出量削減のため,一次エネルギーとしての再生可能エネルギー導入拡大のために必須だからである.表1に我が国の再生可能エネルギーを用いた発電の最大出力及び年間発電量の現状と,2050年において全て再生可能エネルギーで全発電量分を賄うために必要な最大出力,年間発電量,及び調整に必要な電力及び年間の調整用電力量の試算を示す(1)(12).ここでは2050年までに貨物・旅客等がほぼ全て電動化することを仮定している.化石燃料分も含めた現在の年間発電量は概略1,000TW・hであり,2050年は貨物・旅客の電動化分を考慮し,年間発電量を1,400TW・hとした.

表1 現状と2050年の再生可能エネルギーによる発電と電力調整分(1)~(12)

 2050年時の年間発電量について再生可能エネルギーの利用を前提にその内訳を推計してみると,ベース電源として見積もりができる水力+地熱+バイオマス+新電源の合計は620TW・hであり,残り780TW・hを不安定な太陽光と風力で稼ぐことになる.調整分は799TW・hあるので,この電力量を調整する電力網,すなわち新エネルギーマネージメントシステムが必要となる.


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