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IoE(Internet of Energy)社会のエネルギーシステム
小特集 3.
iTAFによる高効率で安全なマイクロ波空間伝送WPTシステム
High Efficient and Safe Microwave Space Transmission Wireless Power Transmission System by iTAF Technology
abstract
Society 5.0において,IoT(Internet of Things)によるインターネットと‘もの’がシームレスに接続されるセンサネットワーク及びモバイルネットワークの実現は必須の命題であり,これらの多様化する電力消費ニーズへの対応が必須となってくる.この課題に対し,戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)では,様々な研究開発に取り組んでいる.本稿では,SIPにおけるセンサネットワーク及びモバイル機器へのWPT(Wireless Power Transmission)システムの研究開発の取組みについて紹介する.
キーワード:iTAF-WPT,マイクロ波,空間伝送方式無線電力伝送,IoT,センサネットワーク
Society 5.0においては,IoTによりインターネットと‘もの’をシームレスに接続し,広範かつ高密度なモバイルネットワークを実現することが必須となる.
一方,IoTを構成するハードウェアにおいては,センサ及びモバイル機器の電源供給が大きな課題となってくる.センサ機器においては,電池や配線による電源供給は可能であるが,トリリオン(1兆)と予想されるセンサ機器数に対する電池交換による人的工数の増大や大量の電池廃棄処理などの問題が発生する.また,配線作業や多量の配線部材が必要になる.このような消耗部材の使用と廃棄はCO2排出の増大を招くばかりではなく,これらの多大な工数の発生は,今後我が国の人口減少及び高齢化による労働力減少問題に更なる負担を掛けることは明白である.特にものづくり日本を支える工場や,介護福祉の現場における労働力減少は喫緊の社会課題であり,IoTの適用が強く期待されている.
また,ウェアラブル端末やモバイル機器においては,配線を接続することはモバイル性及びデザイン性を制限し,モバイル機器産業の発展の妨げとなる可能性を含んでいる.加えて,接続口のないWPT受信機は完全な密閉構造が実現できる.そのため,今後のwith coronaと呼ばれる社会様式においては,消毒も簡単で堅ろうなセンサを実現する技術として利用価値が高いと考えている.
これらの問題を解決するため,数十cm~数mの距離から無線電力伝送することにより,電源を意識しないセンサネットワーク及びモバイルネットワークを実現させ,多様化する電力消費ニーズへのイノベーションを起こすWPTシステムの研究開発は必須である.
このような目的の下,SIPにおいて,当社パナソニック株式会社を研究責任者とする全8機関において研究を2018年11月から着手した.
本稿では,これらのWPTシステムに関する研究開発の概要について紹介する.
研究開発の推進体制を図1に示す.当研究チームは,ユースケースに応じた二つのWPT方式とこれらに共通した三つの研究課題に取り組んでいる.企業4機関,大学4機関により,研究開発推進体制を構成している.
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