電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
© Copyright IEICE. All rights reserved.
|
IoE(Internet of Energy)社会のエネルギーシステム
小特集 5.
ドローン給電のためのWPTシステム
Wireless Power Transmission(WPT)System for Drone Charging
abstract
ドローン(無人航空機)の様々な分野での利用が進む中,活用範囲を広げる上で課題となっているのがバッテリー容量による飛行時間・距離の制約である.この課題に対して,内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)では,ドローンのワイヤレス電力伝送(WPT)による自動充電技術の開発に取り組んでいる.本稿では,SIPにおけるドローンWPTシステムの開発概要・進捗や社会実装に向けた取組みについて紹介する.
キーワード:ワイヤレス電力伝送(WPT),ドローン,電界結合,磁界結合,マイクロ波
ドローン(無人航空機)は,空撮やホビー目的を中心に普及が始まり,昨今は省人・省力化のツールとしてインフラ設備の巡視点検や物流,農業,警備などの産業用での活用検討が進んでいる(1).更に,近年,自然災害が激甚化する中,非常災害時における重要インフラ設備の送配電線緊急ドローン巡視点検など,エネルギーシステムのレジリエンス(強じん化)対応に向けた社会的な価値も高まっている(2).
このように,ドローンの利用シーンが拡大する中,その活用範囲を広げる上で課題となっているのがバッテリー容量による飛行時間・飛行距離の制約である.ドローンが長時間・長距離を安定して自由に飛び回る社会の実現には,バッテリー問題の解決が重要となる.本課題に対して,バッテリーのエネルギー密度向上(3)や機体の高効率化などの研究開発が進められているが,これらには限界があり,将来の目視外飛行地帯の拡大も視野に入れると,自動充電のニーズが高まってきている.そこで,内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP: Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program)において,ドローンへの自動充電技術として,ワイヤレス電力伝送(WPT: Wireless Power Transmission)システムに関する5か年(2018~2022年度)の研究テーマが立ち上がり,当社を研究責任者とする全8機関での研究を開始した.
本稿では,SIPでの研究開発の概要・進捗や社会実装に向けた取組みについて紹介する.
SIP研究開発の取組み体制を図1に示す.ドローンの充電方法は,駐機時と飛行時の2パターンの充電を想定し,駐機状態で大電力を伝送する近距離・大電力WPTシステムと飛行中に電力伝送する遠距離送電制御WPTシステムを開発する.電力伝送方式としては,駐機時は磁界結合及び電界結合の2方式,飛行時はマイクロ波の方式を取り扱う.
続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。
電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。
電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード