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ICT標準化解説シリーズ
解説
IEC TC86におけるファイバオプティクス標準化動向
Standardization Activity for Fiber-optics Technology in IEC TC86
A bstract
IEC TC86(Technical Committee86:第86専門委員会)はIEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)において光ファイバ通信に関する国際規格制定を担う標準化組織である.ここではIEC TC86における標準化活動の体制及び概要と,主に2019~2020年の会合で議論されている最新動向について概説する.
キーワード:国際標準化,ファイバオプティクス,光ファイバ,光コネクタ,光集積回路
光ファイバ技術及び関連製品は,通信分野にとどまらず非常に幅広い産業で活用されている.特に近年ではデータコム分野における光ファイバ技術の活用に伴い,関連製品の需要が爆発的に増加している.このような背景の下,新たな技術・製品が精力的に提案されているが,多様化する光ファイバ関連技術の進展に伴い,これらの相互接続性や品質の保証が重要となる.製品やシステムの相互接続性や品質の保証のため,国際標準が議論,制定されている.光ファイバ技術に関しては,特にITU-T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector:国際電気通信連合・電気通信標準化部門),IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議),IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)などで活発に議論されている.本稿では,主に製品規格や試験方法について取り決めを行うIECにおけるファイバオプティクス技術の標準化動向について概説する.
IECは電気技術に関する全ての分野の国際標準・企画を作成する組織であり,製品仕様にあたる国際規格を開発するとともに,安全性・品質の観点で標準規格適合保証(製品等が標準規格を満足していることを審査・認定すること)を提供している.最近では産業の多様化に伴い,複数の産業分野にまたがるシステム規格の開発も進められている.図1にIECの組織図を示す.IECは全体を統括するIEC執行委員会の下,標準議論を行うTC(Technical Committee:専門委員会)を管理するSMB(Standardization Management Board:標準管理委員会),認証制度の取りまとめや調整を行うCAB(Conformity Assessment Board:適合性評価委員会),産業界の声を吸い上げ新しい技術分野の標準ターゲットを発掘するMSB(Market Strategy Board:市場戦略委員会)の三つから構成される.国際標準の制定・改訂に関する具体的な議論はSMBの下で技術分野ごとに設立されたTCで行われ,必要に応じて各TCはSC(Sub Committee:小委員会)に分けて議論を行う.2020年5月現在,IECには109のTCと101のSCがある.
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