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京都大学と日立製作所の共同研究部門である日立未来課題探索共同研究部門(以下,日立京大ラボ)と福井新聞は,2019年にAIを用いて「福井人の幸せ」といった主観的なテーマにおけるシミュレーションを実施した.本稿では,「幸せ」といった主観的なテーマにおいてAIを活用した新しい取組みの結果を紹介する.
一般財団法人日本総合研究所の「全47都道府県幸福度ランキング」(注1)によると,福井県は2014年から3回連続で「幸福度日本一」に輝いている.本ランキングでは客観的に計測可能な指標を基に評価を行っており,都道府県間を公平に評価する際には必要な手法であると考えられるが,未来の幸せアクションリサーチではそれ以外の主観的な指標を基に,県民が感じるいわゆる「幸福感」に着目した取組みを行った.
まず,県民の感じる「幸せ」を定義するために,福井新聞の紙面等を活用し,福井県在住・出身の方を対象に「福井の暮らしの中で幸せを感じるときやこと」を募集した.その結果,約400人から約1,000項目の回答が寄せられた.その後,福井県に関係する様々な立場の住民を集めてワークショップを開催し,幸せを定義する指標同士の相関を定義することで,AIにインプットする定量モデルを作成していった.
シミュレーションの方法については後述するが,結果として,2050年の福井の未来シナリオ(注2)として6種類のシナリオとそれに至る分岐点や要因が抽出された.ワークショップを通じてそれらのシナリオを評価したところ,人と人の結び付きが強まり,幸せが全体的に高まる「つながりアクティブ社会」と命名されたシナリオが目指すべきシナリオと定義された.それに加え,その社会に向かうための重要な要素を分析したところ,図1に示すように,2030年代から2040年代にかけて重要な分岐点があり,例えば最終の分岐点においては,「人とのつながり」「助け合える関係性」「世代間の交流」の向上が重要とされた.
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