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近年,AIやIoTの活用による地域社会の課題解決が注目されている(1).筆者らは,北陸先端科学技術大学院大学(以下,JAIST)で開発したIoTイノベーションデザイン手法とオンラインコミュニティゲーム分野で蓄積された「コミュニティリノベーション」のフレームワークを融合した手法を用いて,石川県能美市の地域課題解決のためのアイデアソンを2018年度と2019年度の2回実施した.本稿では,その概要と結果を報告する.
AIやIoTの活用は,大企業だけでなく,中堅・中小企業や地域社会においても,新しい価値を生み出し成長・発展するための大きなチャンスとなる.経済産業省と情報処理推進機構(IPA)は,地域課題の解決等に資するIoTプロジェクト創出のための取組みを「地方版IoT推進ラボ」として2016年度から選定・支援しており,2020年4月時点で101か所が登録されている(2).地域課題解決のためのAI/IoTの活用の取組み例として,「ひろしまサンドボックス」がある.これは,AI/IoT等の最新技術を活用し,様々な産業・地域課題の解決のために,広島県内外の企業や人材が共創できるオープンな実証実験の場であり,アイデアソン・ハッカソンも活用し,多くの成果を生み出している.
これらの成功例はあるものの,各プロジェクトは試行錯誤を繰り返している.しかし,何らかの手法やフレームワークがあると,試行錯誤を効率化できるのも事実である.筆者らは,ICTの専門家が必ずしもいない中堅・中小企業において,AIやIoTを活用したイノベーションを考えるための工学的な設計手法「IoTイノベーションデザイン手法」を提案してきた(3).しかし,地域課題解決に企業向けのイノベーションデザイン手法を適用しようとすると下記のような課題がある.
(1)地域社会には,それを構成する様々なリソース(住民,土地,文化など)が存在するが,それらのリソースは,企業のように売却や買収ができるものではない.
(2)地域社会には,様々な異なる価値基準を持つステークホルダが存在する.
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