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地球温暖化による気候変動により豪雨被害が多発する一方,今後は渇水被害も懸念されている.日本国内における近年の降雨特性からもその傾向が高まっており,50mm/h以上の猛烈な雨が降る頻度が増えていることが分かる(図1)(1).これまでの建築では,敷地に降った雨水は速やかに下水等へ流すのが基本であった.しかしながら,50mm/hを超えるような豪雨が降ると不浸透面が多い都市部においては下水の排水が間に合わずに浸水被害が発生する.雨水業界では「流せば洪水,ためれば資源」という言葉がある.今後更に深刻化すると考えられる洪水と渇水の問題を解決する方法の一つとして,建築物の屋根に降った雨水を貯留して生活用水として活用し,更に雨水タンクへの貯留によって下水への流入量を減らして内水氾濫の緩和につなげる雨水活用がある.雨水タンクへの雨水貯留は,雨水を水資源として利用する観点から考えると満水に近い方がよい.しかしながら,洪水抑制の観点から考えると空に近い方がよい.洪水と渇水両方の対策としての雨水活用を考えた場合,これらの相反する課題を共に解決しないと設置した雨水タンクの効果を最大限に高めることはできない.
本稿では,降雨を水資源として活用するための雨水活用システムにIoTを導入した場合の効果を紹介する.また,国内唯一の全生活用水を雨水だけに依存する二次離島(長崎県五島市赤島)で進められている雨水活用システムの実証実験について紹介する.
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