特別小特集 5. AI時代の自動運転最前線と永平寺町におけるラストマイル自動走行の実証評価

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特別小特集 5. AI時代の自動運転最前線と永平寺町におけるラストマイル自動走行の実証評価

加藤 晋 国立研究開発法人産業技術総合研究所情報・人間工学領域ヒューマンモビリティ研究センター

Shin KATO, Nonmember (Human-Centered Mobility Research Center, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Tsukuba-shi, 305-8568 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.103 No.10 pp.997-1002 2020年10月

©電子情報通信学会2020

1.は じ め に

 現在,日本では高齢過疎地や交通弱者等のための安心,安全な移動手段の確保に対し,自動運転技術を活用した新たな移動サービスが期待されている.また,自動運転技術においてAI(Artificial Intelligence:人工知能)は,認知や判断に応用されており,複雑な走行環境や状態の理解に不可欠となっている.本稿では,自動運転とAI技術の関わりと,地域の短中距離の移動を補完する次世代の交通に自動運転技術を活用したラストマイル自動走行として,永平寺町で実施している実証評価とAI技術の活用について紹介する.

2.自動運転とAI技術

 自動運転に係る社会的期待は,日本の交通社会の様々な課題解決への貢献にある(1).まず,安全に対しては,自動運転の導入で新たな事故が発生する確率はかなり低いとされ期待は高い.また,高齢者のドライバを含む交通事故の増加や交通マナーの問題に対応できると考えられている.地方における移動手段不足,運輸・物流業における運転手不足等に対して,ドライバの負担軽減やドライバレスといった運転者不要にも期待がある.特に地方では,自動車に対する依存度は非常に高く,生活に欠かせなくなっており,課題への対応が急務とされている.

 一方,AIという用語は,1955年に翌年のダートマス会議のための提案書(2)に,アメリカの認知科学者のジョン・マッカーシーが初めて使用したとされ,最近にできた用語ではない.知識工学のルール制御技術のファジー制御(Fuzzy control:あいまい制御)や,脳機能に類似したデータの学習と認識技術のニューラルネットワーク(Neural network:神経網)もAI技術の一つで,これまで新たな製品に使われる等のブームがあった.近年は,多層のニューラルネットワークによる機械学習手法であるディープラーニング(Deep learning:深層学習)を用い,囲碁でプロの棋士に勝てるシステムの出現や,物体認識等で様々に利用されている.また,ビッグデータ(Big data:巨大で複雑なデータの集合)の解析等には不可欠になっており,社会に浸透してきた技術と言える.ここでは,自動運転とAI技術の位置付けや活用について紹介する.

2.1 自動運転のレベル

 自動車の自動運転と言っても,レベル分けの定義があり,表1に示すように操縦の主体(責任)が異なる(3).現在,市販されている自動運転車両は,レベル2までである.ドライバが行っている認知,予測,判断及び操作の行為を,全て自動化することが求められるレベル5の完全自動運転の実現は,まだ技術的にも制度整備的にも時間が掛かると言われている.また,自動運転の進化プロセスは,自家用のオーナーカーよりも営業用の物流/移動サービス車両の方が,限定領域でのレベル4での実用化が早いとされ,政府の市場化・サービス実現のシナリオでは,2020年までに限定地域での無人自動運転移動サービスの実現が掲げられている.


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