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3. 光周波数コムの応用
3-3
【測距系】
光周波数コム(光コム)の新奇特徴に基づいた知的光計測
Optical Metrology Based on Novel Features in Optical Comb
2005年ノーベル物理学賞である光周波数コム(光コム)は,「光周波数の物差し」として,光周波数標準,分光計測や距離計測において,革命的な進展をもたらした.一方で,光コムの極限的光源としての特徴は,「光周波数の物差し」にとどまるとは思えず,いまだ十分には開拓されていない高いポテンシャルが潜在していると考えられる.筆者らは,新たな応用を開拓するため,光コムの新奇特徴(超離散マルチ光チャネル性,光/RF周波数リンク)に着眼した光計測手法の開発を行っている.本稿では,その取組みとして,「次元変換光コム」と「光/RF変換光コム」に関する研究成果を紹介する.
キーワード:光コム,デュアル光コム分光,次元変換,光/RF変換,共焦点顕微鏡,屈折率センシング,ファイバセンサ
光周波数コム(光コム)(1)は,多数の安定な光周波数モード列が一定間隔で規則的にくし(コム)の歯状で並んだ超離散マルチスペクトル構造を示す光源である.更に,レーザ制御により,各光周波数モードの絶対周波数を極めて正確に決定できるので,「光周波数の物差し」として利用できる.1999年に光コムを用いた光周波数測定が初めて報告されて以降,光周波数標準や分光計測に革命的進展をもたらし,2005年ノーベル物理学賞につながった.これは,光コムの極限的光源(用語)としての特徴が,それまでの常識を大きく打ち破ったからであると言える.
光コムの「周波数精緻性(用語)」と「極めて広い周波数ダイナミックレンジ」は,モード分解光コムスペクトル(用語)の取得により初めて利用可能になるが,従来の分光器では分解能不足で取得できなかった.近年,光コムのレプリカをRF帯に生成することにより,モード分解光コムスペクトルを高精度・高速に計測するデュアル光コム分光法(2)が開発された.更に,実用的な光コム光源(ファイバレーザ光コム,電気光学変調器光コム,量子カスケードレーザ光コム,マイクロ光コムなど)の技術的成熟や,光コム及びデュアル光コム分光法の波長多様性を背景に,分光計測や距離計測といった応用分野で研究開発が活発化している.
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