特集 3-4 【分光系】デュアルコム分光法による磁気特性の測定

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.103 No.11 (2020/11) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


枠

3. 光周波数コムの応用

特集

     3-4

【分光系】

デュアルコム分光法による磁気特性の測定

Measurement of Magnetic Property Using Dual-comb Spectroscopy

小田切雄介 足立拓斗 浅原彰文 石橋爾子 波多野 智 美濃島 薫

区切り

小田切雄介 ネオアーク株式会社本社工場

足立拓斗 電気通信大学大学院情報理工学研究科基盤理工学専攻

浅原彰文 電気通信大学大学院情報理工学研究科基盤理工学専攻

石橋爾子 ネオアーク株式会社本社工場

波多野 智 ネオアーク株式会社本社工場

美濃島 薫 電気通信大学大学院情報理工学研究科基盤理工学専攻

Yusuke ODAGIRI, Chikako ISHIBASHI, Satoshi HATANO, Nonmembers (Production Section, NEOARK Corporation, Hachioji-shi, 192-0015 Japan), Takuto ADACHI, Akifumi ASAHARA, and Kaoru MINOSHIMA, Nonmembers (Graduate School of Informatics and Engineering, The University of Electro-Communications, Chofu-shi, 182-8585 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.103 No.11 pp.1132-1136 2020年11月

©電子情報通信学会2020

abstract

 磁気光学効果を用いて磁性材料の物性評価を行う手法は広く知られている.磁気光学効果は波長依存性を有するため,分光特性の評価は重要であるが,従来の分光測定法では波長高分解能測定のためには,測定時間を要するという課題があった.筆者らはデュアルコム分光法を用いて,高速,高精度かつ高分解能な磁気光学効果の分光特性を取得し,磁性材料の評価への応用技術開発に取り組んできた.更に,デュアルコム分光法によるファラデー効果測定装置の試作機を開発して,デュアルコム分光法という優れた技術の社会実装を進めている.

キーワード:分光計測,磁気光学効果,磁性材料,物性計測

1.は じ め に

 2007年にiPhoneが発売されて以来,急速にスマートフォンは普及しており,それとともに各メーカは競い合ってスマートフォンの高性能化,低消費電力化を進めてきた.スマートフォンの主要部品の一つであるメモリにおいては,磁気抵抗メモリ(MRAM: Magnetoresistive Random Access Memory)が次世代のメモリとして期待され,研究,開発が行われている.MRAMは電子が持つ電荷とスピンの特性を利用する“スピントロニクス”という新しい分野を代表するデバイスの一つである.磁気トンネル接合を有する構造の不揮発性メモリであり,既存のフラッシュメモリやDRAMと比較して高速,低消費電力という特長を持つ.このような革新的な磁性デバイスや磁性材料の性能向上にはその物性の把握が必須であるが,その手法の一つとして磁気光学効果を用いた光学測定法がある.筆者らは光周波数コムを磁気光学効果の測定に応用して,従来法と比較して優れた測定技術を実現した.本稿では,光周波数コムの磁性材料評価装置への応用に関する取組みを報告する.

2.磁気光学効果による磁性材料評価

2.1 磁気光学効果の応用


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。