小特集 2-1 移動体通信事業者における災害への取組み

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Vol.103 No.12 (2020/12) 目次へ

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2. 通信システムの災害対応事例

小特集 2-1

移動体通信事業者における災害への取組み

Responding to Disasters at Mobile Network Operator

松ヶ谷篤史

松ヶ谷篤史 KDDI株式会社技術企画部

Atsushi MATSUGATANI, Nonmember (Technical Planning Department, KDDI Corporation, Tokyo, 102-8460 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.103 No.12 pp.1192-1195 2020年12月

©電子情報通信学会2020

1.は じ め に

 近年の災害傾向として,局所的な被害から,広域化・長期化する傾向が見られている.平成28年熊本地震,平成29年7月九州北部豪雨,平成30年大阪府北部地震などの局所的な災害に加え,平成30年の北海道胆振東部地震,平成30年7月豪雨(西日本豪雨),平成30年台風21号・24号は被害が広範囲に及び,長期化した.ここでは,災害傾向が変化しても安定した通信提供を継続するために当社で講じている対策を説明する.

2.携帯電話ネットワークの災害への対応

 移動体通信事業者の使命は携帯電話サービスだけでなく,電子決済サービス,金融サービスなど,利用者の生活に密着したサービスを提供しており,その基盤を支える通信インフラを24時間365日守ることである.このため「通信経路の多ルート化」,「通信設備の冗長化」,「電源のバックアップ」を三つの柱とした通信ネットワークの強じん化策をとっている.

 通信経路の多ルート化については,北海道,本州,四国,九州,沖縄をつなぐ海底ケーブルを複数経路化して地震などによる切断に対して冗長をとり,サービス維持を実現している.

 通信設備の冗長化については,中枢設備があるネットワークセンター内で現用と予備の冗長をとっているほか,ネットワークセンター間においても冗長をとることで異常検知時に経路を自動で切り換え,サービス影響を最小限に抑える取組みである(図1).

図1 通信設備,ネットワークの冗長化イメージ


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