小特集 3-1 自然災害へのレジリエンス向上に寄与する耐災害ICT技術開発

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Vol.103 No.12 (2020/12) 目次へ

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3. 未来に向けたレジリエント・持続可能な電力・通信システムの進化に向けて

小特集 3-1

自然災害へのレジリエンス向上に寄与する耐災害ICT技術開発

Research and Development of ICT Technologies for Improving Resilience in Natural Disaster Scenarios

川本雄一

川本雄一 正員 東北大学大学院情報科学研究科応用情報科学専攻

Yuichi KAWAMOTO, Member (Graduate School of Information Sciences, Tohoku University, Sendai-shi, 980-8579 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.103 No.12 pp.1203-1206 2020年12月

©電子情報通信学会2020

1.は じ め に

 最近,災害発生のニュースを見ることが多くなった.これは気象変動など何らかの理由で災害発生が増えているからなのか,情報通信技術の発達によりその発生を知る機会が増えたからなのか,いずれにせよ我が国では災害が多発しているということは事実であるように思う.筆者が所属する東北大学でも,東日本大震災の発生を受け,2012年に災害科学国際研究所を設立している.一方,筆者自身の所属は情報科学研究科であり専門は情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)であるが,耐災害ICT技術の開発という観点から,タイトルにもある自然災害へのレジリエンス向上に寄与すべく研究開発に取り組んできた.

 他方,昨今の新型コロナウイルスの影響は甚大であり,これを「災害」と呼ぶべきかの判断は専門家に委ねるが,これに対応すべく厚生労働省が掲げている新しい生活様式における日常生活の各場面を見ると,その大半がICT技術の活用を必要としているものであり,我々の生活におけるレジリエンスの向上にICT技術が寄与する部分が非常に大きいことが分かる.

 これらを背景として,筆者らの研究グループはレジリエントな社会の実現に向けて,これまで様々なICT技術に関する研究開発に取り組んできた.本稿ではこれらについて幾つか事例を紹介しつつ,その今後への期待について述べる.

2.耐災害ICT技術開発の事例

2.1 無線メッシュネットワークの利用

 まずはじめに,災害時にも有用とされる無線メッシュネットワークの事例について紹介する.災害発生時,地震や津波,豪雨やそれらに伴い発生する停電等の影響により既存の通信インフラが使用不可になるケースが多発している.このような状況下において,即時に展開可能で,かつ一定以上の範囲に面的に通信環境を構築可能な無線メッシュネットワークの活用に期待が集まっている.


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