解説 スーパコンピュータ「富岳」4冠達成

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Vol.103 No.12 (2020/12) 目次へ

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 解説 

スーパコンピュータ「富岳」4冠達成

Feat of Winning Four Major Benchmarks on Supercomputer Fugaku

石川 裕 佐藤三久 今村俊幸 中尾昌広 児玉祐悦 工藤周平 似鳥啓吾 伊奈拓也 上野晃司 藤澤克樹 清水俊幸 三吉郁夫 三輪英樹 細井 聡

石川 裕 理化学研究所計算科学研究センター

佐藤三久 正員 理化学研究所計算科学研究センター

今村俊幸 理化学研究所計算科学研究センター

中尾昌広 理化学研究所計算科学研究センター

児玉祐悦 正員 理化学研究所計算科学研究センター

工藤周平 理化学研究所計算科学研究センター

似鳥啓吾 理化学研究所計算科学研究センター

伊奈拓也 理化学研究所計算科学研究センター

上野晃司 (株)フィックスターズソリューション第一事業部

藤澤克樹 九州大学マス・フォア・インダストリ研究所

清水俊幸 正員 富士通株式会社プラットフォーム開発本部

三吉郁夫 富士通株式会社プロセッサシステム事業本部

三輪英樹 富士通株式会社プロセッサシステム事業本部

細井 聡 富士通株式会社プロセッサシステム事業本部

Yutaka ISHIKAWA, Toshiyuki IMAMURA, Masahiro NAKAO, Shuhei KUDO, Keigo NITADORI, Takuya INA, Nonmembers, Mitsuhisa SATO, Yuetsu KODAMA, Members (Center for Computational Science, RIKEN, Kobe-shi, 650-0047 Japan), Koji UENO, Nonmember (Fixstars Corporation, Tokyo, 141-0032 Japan), Katsuki FUJISAWA, Nonmember (The Institute of Mathematics for Industry, Kyushu University, Fukuoka-shi, 819-0395 Japan), Toshiyuki SHIMIZU, Member (Platform Development Unit, Fujitsu Limited, Kawasaki-shi, 211-8588 Japan), Ikuo MIYOSHI, Hideki MIWA, and Akira HOSOI, Nonmembers (Processor System Business Unit, Fujitsu Limited, Kawasaki-shi, 211-8588 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.103 No.12 pp.1217-1220 2020年12月

©電子情報通信学会2020

A bstract

 理化学研究所と富士通で開発を進めているスーパコンピュータ「富岳」が2020年6月,四つの世界主要スパコンランキング(TOP500,HPCG,HPL-AI,Graph500)において世界で初めて同時に1位となり世間の注目を集めた.本稿では富岳システム開発経緯及びシステムの概要を述べたのち,それぞれのベンチマークの特徴と1位になった意義について解説する.

キーワード:スーパコンピュータ「富岳」,TOP500,HPCG,HPL-AI,Graph500

1.概     要

 スーパコンピュータ「富岳」は,文部科学省が2014年から進めているフラッグシップ2020プロジェクト(FLAGSHIP2020 Project)における成果物である.本プロジェクトは,①スーパコンピュータ「京」の後継機の開発・整備,及び②開発した後継機を用いて重点的に取り組むべき社会的・科学的課題(重点課題)に向けたアプリケーションの開発から構成されている.富岳は,高いアプリケーション性能(京の100倍),省電力,使いやすさを目標に,アプリケーション開発者とのコデザイン(協調設計)を進めた.

 コデザインにおいては,各重点課題実施機関からアプリケーションを選定してもらい,それらターゲットアプリケーションの実行効率を高めるべく,ハードウェア,ソフトウェアの設計を進めた.このように本開発プロジェクトはTOP500などのベンチマークで世界1位を取ることが目標ではなかった.コデザイン手法により重点課題アプリケーションを効率良く実行できるシステムが構築できたからこそ,結果として四つのベンチマークで世界一の性能が達成できた.

2.富     岳


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