小特集 移動通信システムの発展と展望 小特集編集にあたって

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Vol.103 No.2 (2020/2) 目次へ

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小特集

移動通信システムの発展と展望

小特集編集にあたって

編集チームリーダー 村田英一 大槻知明

 移動通信システムは生活になくてはならない社会インフラストラクチャの一つになっています.最近ではスマートフォンを使ったコード決済が話題になっていますが,これは地下を含む店舗の支払場所において移動通信システムが圏外になることがなく,安定したデータ通信が可能になったために実現できたサービスと言えるでしょう.

 人々が直接利用する通信サービスだけでなく,最近では普及価格帯の自動車にも通信機が搭載され緊急時の自動通報が可能になるなど,安全・安心を支える社会インフラストラクチャとしての役割も増しています.

 本小特集では,世界的に第5世代移動通信方式のサービスが開始されつつあるこの時期を捉えて,移動通信システムの誕生から現在まで,そして将来展望について,各世代の研究開発・実用化を担った方々に解説頂きます.

 1章では,第1世代から第5世代に至るセルラシステムの進化について,技術面,標準化,生活や社会への影響の側面から解説頂き,人々の生活や産業に不可欠な社会インフラストラクチャに発展した移動通信システムの進化の足跡をたどります.

 2章では,第1世代・第2世代移動通信方式について技術及び標準化について紹介頂きます.無線技術のみではなく,ネットワークや番号,課金についても解説頂きます.アナログ方式による黎明期から全ディジタル方式の実現までの各国の動きを詳しく紹介頂きます.

 3章では,2000年代に登場した広帯域符号分割マルチアクセスを用いる第3世代移動通信方式と先駆的な研究開発について解説頂き,音声サービスからパケット伝送によるマルチメディア通信への進化を振り返ります.

 4章では,第4世代移動通信方式であるLong Term Evolution(LTE)の物理レイヤ技術の概要について解説頂きます.周波数・時間領域の動的なスケジューリングを行う直交周波数分割多重アクセスと標準化された各種技術について詳しく説明頂きます.

 5章では,第5世代移動通信方式の想定サービスとシステム要求条件,並びに高速・大容量の実現に向けたアプローチと高周波数帯活用について解説頂きます.Massive MIMO技術による高周波数帯利用とその実証試験について詳しく説明頂きます.

 最後の6章では,本小特集の締めくくりとして移動通信システムの将来を展望します.第6世代以降の移動通信システムで期待されるサービスと要求条件を考察し,続いて,要素技術として特に無線アクセス方式について詳しく検討します.また,今後本格化する高周波数帯の活用について新たなシステムを考察し,最後に無線通信でのAI活用について議論します.

 以上,6編による本小特集が,移動通信システムの足跡を振り返り,今後の発展を考えて頂く機会となれば幸いです.

 最後に,本小特集の趣旨に賛同頂き,お忙しい中原稿を御執筆頂いた執筆者の皆様,本小特集企画立案段階から御尽力頂いた編集チームのメンバー,学会事務局の皆様に深くお礼申し上げます.

小特集編集チーム

 村田 英一  大槻 知明  宮村  崇  岡本 英二  熊谷 太一  白戸 裕史  高橋 英憲  藤尾 俊輔  八木 秀樹 


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