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移動通信システムの発展と展望
小特集 3.
第3世代移動通信システム
――マルチメディア通信の実現――
The 3rd Generation Mobile Communication System: Towards the Realization of Mobile Multimedia Communications
abstract
第2世代移動通信システムの普及と商用インターネットの開始とともに,音声だけでなくマルチメディア通信への期待が高まった.そこで2000年代に登場したのが,広帯域符号分割多元接続(W-CDMA: Wideband-Code Division Multiple Access)を用いる第3世代移動通信システムであった.主な通信サービスは音声通信からインターネットと接続した広帯域マルチメディア通信へと移り変わった.本稿では,W-CDMA技術について紹介するとともに,一層の大容量化と高速化を目指した先駆的な研究開発についても紹介する.
キーワード:第3世代移動通信システム,W-CDMA,マルチメディア通信
私たちが持つ「いつでも,どこでも,誰とでも,どんな情報をも瞬時にやり取りしたい」という願いの実現には無線通信技術が大きな役割を担っている.自動車電話と言われる,周波数分割多元接続(FDMA: Frequency Division Multiple Access)を用いる第1世代移動通信システムが初めて日本に登場したのは,今から40年前の1979年12月のことである.そして1990年代の初めには時分割多元接続(TDMA: Time-Division Multiple Access)を用いる第2世代システムが登場した.
1980~1990年代の半導体集積回路技術の飛躍的な進歩に支えられ移動通信端末の軽量・小形化が進み利便性が増すとともに,第2世代システムの加入者が急増した.商用インターネットの普及とあいまって,1990年代後半には,移動通信においても音声だけでなくテキストや画像などの入り混じったマルチメディア通信への期待が高まった.
一方,第1世代システムが登場して5年ほどたった1985年には第3世代システムの国際標準化の検討が国際電気通信連合(ITU)で開始された.そして,通信速度の目標を144kbit/s(高速移動時),384kbit/s(低速移動時),2Mbit/s(静止時)とすることが決定された.この目標をイメージ図として描いたのが図1である.
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