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移動通信システムの発展と展望
小特集 6.
移動通信システムの将来展望
Prospects of Mobile Communication Systems
abstract
本小特集の締めくくりとして,移動通信システムの将来を展望する.最初に第6世代以降の移動通信システムで期待されるサービスと要求条件を考察し,5Gを超える必要性,アプリケーションと要求条件の多様化について検討する.続いて,第6世代以降の移動通信システムを実現する要素技術として特に無線アクセス方式について詳しく検討する.また,5Gから本格化する高周波数帯の活用について新たなシステムを考察し,今後本格化すると思われる各種のシステム間連携について取り上げる.最後に無線通信でのAI活用について議論する.
キーワード:次世代移動通信システム,無線アクセス方式,高周波数帯,深層学習技術
一般に「5G」は,IMT-2020のITU勧告(1)に基づき標準化・開発されているRAN(無線アクセスネットワーク)を指すことが多い.そこでは以下の三つのユースケースが示された(2).
(a)高度化モバイルブロードバンド(eMBB: enhanced Mobile BroadBand)
(b)大規模マシンタイプ通信(mMTC: massive Machine Type Communications)
(c)超信頼・低遅延通信(URLLC: Ultra-Reliable and Low Latency Communications)
では「6G」とは? と言えば,技術はもちろんユースケースも,共通のコンセンサスは定まっていない.しかし5Gのサービス開始が見えてきた現在,6Gに関する展望や議論は既に始まりつつある(3)~(7).
次世代通信技術が議論されるとき,「これ以上の高速伝送が必要なアプリケーションはあるのか?」などの意見はこれまでもよく耳にするが,「高速化が新たなサービスを生み出す」のも事実である.ただしEMBBは面的カバーである必要はなく,ホットスポット的な屋外エリアと屋内で十分だろう(3).低消費電力化は特にIoT: Internet of Thingsなどのサービスには重要である(4).また,へき地や海上など遠距離通信によるサービスエリア拡張も望まれている(3).
ところで通信のディジタル化は,雑音に強いなど多くの恩恵をもたらしたが,伝送遅延だけはアナログより悪い現状がある.特に動画像の遅延は不満足である.支配的要因は動画像のコーデックだが,RANも含めた伝送速度の制限へ対処するためのコーデックが遅延の主因とも言える.遅延の改善はクロスレイヤで考える必要がある.
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