小特集 3-2 VLBIと原子時計

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Vol.103 No.4 (2020/4) 目次へ

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光・時刻リンク技術による高精度な周波数標準のアプリケーション
3. 応用技術

小特集 3-2

VLBIと原子時計

VLBI and Atomic Frequency Standards

関戸 衛

関戸 衛 正員 国立研究開発法人情報通信研究機構電磁波研究所

Mamoru SEKIDO, Member (Applied Electromagnetic Research Institute, National Institute of Information and Communications Technology, Kashima-shi, 314-8501 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.103 No.4 pp.392-395 2020年4月

©電子情報通信学会2020

1.電波干渉計+水素メーザ→VLBI

 光学望遠鏡も含めて,望遠鏡の分解能は回折限界により制限され,受光面の開口直径math(m),波長math(m)に対してmath(rad)で評価される.人の視力の測定も1mmの隙間を5m離れた位置から識別できる能力を視力1として,分解能の逆数で定義されている.10cm口径の光学望遠鏡が視力25~50に相当するのに対して,電波望遠鏡の場合,850GHzの受信機を持つALMA(注1)でも,その素子である12m直径の単一の望遠鏡だけでは視力7に届かず,8.4GHzで観測を行う日本最大の臼田64mパラボラアンテナの場合,視力0.36相当である.このような電波望遠鏡の分解能を改善すべく,干渉計という方法が開発された.複数のパラボラアンテナで受信した信号を干渉(相互相関)させることにより,アンテナ間の基線長math(m)を直径とするパラボラアンテナ相当の高い分解能(math)を得ることができる.

 ここで,干渉計が成立するための周波数安定度について考える.アンテナx,yで受信される信号をそれぞれmathとして,天体からの信号math,受信機等による雑音をmathとする.アンテナyには天体からの信号がmathだけ遅延して到達するものとする.

math

(1)

math

(2)

周波数標準源の基準信号に同期した角周波数mathの信号を局部発信機で発生し,受信信号に掛け合わせて記録可能な低周波の信号に変換する.このとき,x,yそれぞれのアンテナの局部発信機の角周波数をmathと書くと

math

(3)

math

(4)

ここでmathは,アンテナx,yそれぞれの局部発信機の付加位相を表す.相互相関


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