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編集チームリーダー 井ノ上直己
近年のAIは,ソフトウェアだけでなくハードウェアに実装する技術の発展とも密接に関係している.例えば,グラフィックス処理を高速に行うために開発されたGPU(Graphics Processing Unit)に深層学習を実装することで,認識精度が向上したのもその例である.このように,高性能なハードウェアへAIソフトウェアを実装する試みが数多く取り組まれ,様々な工夫がなされている.そこで,本特集では,AIの精度向上を支えているハードウェアへの実装技術について俯瞰することとした.
まず第1章でソフトウェアの観点から最新の動向を紹介する.1-1でAIの概念が登場してから現在までの進歩を松尾 豊氏に概観頂く.1-2では,様々な分野で活用が期待される画像認識の最新動向を佐藤真一氏に,1-3では,多様な大規模データが取得可能となった現在,これらのデータを分析して活用するデータ駆動形アプローチの重要性が大いに高まっていることから,後藤正幸氏にデータ分析技術の動向を紹介頂く.
次に第2章では,ハードウェアの観点から最新の動向を紹介する.2-1でAIに必要な演算の観点からコンピュータハードウェアの技術動向について片桐孝洋氏に俯瞰頂く.2-2では,ユーザがプログラムを組むことにより,内部の回路を自由に構成できるハードウェアデバイスであるFPGA(Field Programmable Gate Array)について,AIへの応用可能性について柴田裕一郎氏と眞邉泰斗氏に紹介頂く.2-3では,今やAI分野で標準的なハードウェアデバイスになっているGPUの最新開発環境を成瀬 彰氏に紹介頂く.2-4では,AI技術の研究開発のために整備が進んでいるAIスパコンについて,そのシステム要件や具体的な活用例を小川宏高氏に紹介頂く.
第3章では,AIソフトウェアを様々なハードウェアに実装した具体例をまとめて紹介する.3-1では,大規模な深層学習をGPUに実装する際の実装技術を根岸 康氏,今井晴基氏,Tung D. LE氏,河内谷清久仁氏に,3-2では,深層学習を実装する際のハードウェアコストを削減する手法とFPGAへの実装について中原啓貴氏に紹介頂く.3-3では,自己組織化マップ(Self-Organizing Map)と呼ばれるAIソフトウェアをFPGAに実装した例を安永守利氏に紹介頂く.3-4では,深層学習の高効率化アルゴリズム,この特長を最大限生かすハードウェアアーキテクチャ,及びFPGAで実装した事例を出口 淳氏,宮下大輔氏,眞木明香氏,佐々木慎一氏,中田憲吾氏,鈴木智哉氏,橘 文彦氏,藤本竜一氏に紹介頂く.3-5では,Black-box最適化問題と呼ばれる問題を素早く解く手法として注目されている粒子群最適化法(Particle swarm optimization)をGPUに実装する手法を佐々木智志氏に紹介頂く.3-6では,ベクトルプロセッサに深層学習などを実装した事例を荒木拓也氏,大野善之氏,石坂一久氏に紹介頂く.3-7では,AIの応用例として自動運転システムを取り上げて具体的な実装例を馬路 徹氏に紹介頂く.3-8では,今後活用が期待される不揮発性メモリを用いた非ノイマン形AIチップの回路実装方法及びその性能を河野和幸氏に紹介頂く.
最後に,お忙しい中,本特集の原稿を御執筆頂いた執筆者の皆様,記事構成の提案や調整等で多大な御協力を頂いた特集編集チームの皆様に深く感謝致します.
特集編集チーム
井ノ上直己 掛谷 英紀 田中 正行 一木 麻乃 河原 智一 楠田 佳緒 芥子 育雄 坂本 雄児 篠原 雄介 鈴木 源太 谷村 勇輔 多屋 優人 永田 真斗 南里 豪志 西川 由理 野中 誉子 野村 晶代 比嘉 恭太 牧田 大佑 森 健太郎 山本 博章
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