特集 1-3 データ駆動形アプローチにおけるデータアナリティクスに関する技術動向

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特集 1-3 データ駆動形アプローチにおけるデータアナリティクスに関する技術動向

後藤正幸 正員 早稲田大学創造理工学部経営システム工学科

Masayuki GOTO, Member (School of Creative Science and Engineering, Waseda University, Tokyo, 169-8555 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.103 No.5 pp.461-467 2020年5月

©電子情報通信学会2020

abstract

 近年,様々な場面でAI技術を活用したデータ分析の活用が進められている.従来の統計分析では仮説駆動形のアプローチが主流であり,設定した仮説を検証するためにデータが収集されていた.これに対し,近年ではセンシングやIoT(Internet of Things)などの情報技術の発展に伴って,人々の活動の記録として多様なデータが生成され,蓄積されるようになっている.このようなリッチなデータを活用したデータ駆動形アプローチが注目されるようになり,AI技術を駆使した様々なデータ分析技術が活用されるに至っている.本稿では,主にビジネスデータ分析におけるAI活用の技術動向について解説する.

キーワード:データ駆動形,データ分析,大規模データ,データサイエンス,アナリティクス

1.は じ め に

 近年,B2C型事業を営む多くの企業では,顧客の購買履歴データやWebサイト上の閲覧履歴データ,ユーザによる自由投稿のテキストや画像・映像など,多様でリッチな顧客のログデータを活用して統計モデルを構築し,経営判断やマーケティング施策に結び付けようとする機運が高まっている.膨大な消費者の行動ログが取得可能になった現在,これらの多様な大規模データを最大限に活用したマネジメントや事業創出が可能となり,データサイエンスの技術アプローチに基づくデータ分析が不可欠となった.このような多様なデータを分析して,様々な目的のために活用しようとする方法論は“データ駆動形アプローチ”と呼ばれ,近年,様々な分野でその重要性が指摘されている.既に様々なデータを駆使した統計モデルやAI技術は,企業活動の様々な場面で活用されるようになり,その重要性も高まる一方である.例えば,工場の生産現場では,生産性の向上を目指したデータ駆動形の生産マネジメントや製品や機器の異常検出・故障予測といった様々な問題に機械学習モデルなどのデータ分析技術が適用されるようになっている.人材マネジメントの分野でも,より人材の適材適所を判断したり,効果的なチームを構成するために様々なデータが活用されようとしている.

 本稿では,様々な分野で活用される基盤技術の一つとなったデータ解析について,特に企業活動におけるデータ活用の動向についてAI技術を中心にまとめる.企業活動におけるデータ活用と分析技術は,ビジネスアナリティクスと呼ばれ,高度に進化し続けるAI技術とあいまって,様々な分野で非常に多くの研究や取組みが行われている.その全体を体系化することは現段階ではなかなか難しいことではあるが,本稿では多少の間違いを恐れずに,そのような俯瞰にチャレンジしてみたい.

2.利用される様々なデータとその活用

2.1 増え続ける利用可能データ


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