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NECは1980年代からベクトル形コンピュータの提供を行っている.従来は大形モデルのみでありスーパコンピュータとしての用途が中心であったが,最新のSX-Aurora TSUBASAからはベクトルプロセッサをPCIeカード上に実装することで,小形モデルからの提供を可能としている.これに伴い,ベクトルプロセッサの新たな応用としてAI処理の高速化を行っている.ベクトルプロセッサが得意とするメモリバンド幅を生かすアルゴリズムのうち,統計的機械学習及び深層学習を対象とし,フレームワークの実装,移植を行った.本稿ではその実装と評価について紹介する.
キーワード:ベクトルプロセッサ,SX-Aurora TSUBASA, Frovedis, TensorFlow,機械学習
近年,AI及びそれを実現する機械学習技術が注目を集めている.これは,機械学習技術そのものの発展だけでなく,大規模なデータセットが入手可能となることで,その精度が向上したことが理由の一つである.一方,データセットが大規模となることで,学習にかかる時間が長時間化することが課題となっている.
ここで,機械学習アルゴリズムは行列演算が中心であるため,ベクトルプロセッサを活用した高速化が有望である.そこで筆者らは,NECが提供するベクトル形コンピュータSX-Aurora TSUBASA(1)を用い,機械学習を高速化するフレームワークの実装及び移植を行った.具体的には,深層学習以外の従来型の機械学習(本稿では統計的機械学習と呼ぶ)を対象としたフレームワークとして,Frovedisを実装した.また,深層学習を対象としたフレームワークとして,TensorFlowのSX-Aurora TSUBASA対応を行った.
以下,2.でSX-Aurora TSUBASAの概要について述べる.3.で機械学習向けフレームワークとして,Frovedisの実装及びTensorFlowのSX-Aurora TSUBASA対応について述べた後,4.でまとめを行う.
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