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解説
磁気ホログラムと新しい光磁気応用[Ⅰ]
――空間光変調器と立体ディスプレイ――
Magnetic Holography[Ⅰ]: Spatial Light Modulator and Three-dimensional Display
A bstract
光の位相干渉じま(ホログラム)を磁性体中の磁化分布として記録した磁気ホログラムは,磁性体固有の磁気光学効果によって空間中に立体像の表示や,情報の体積記録を行うことができる.これは磁気ホログラフィーと呼ばれ,偏光顕微鏡を用いることで磁気ホログラムそのものも観察できる.本稿ではその原理と応用について,磁気ホログラムの媒体として用いている人工磁気格子とともに解説する.
キーワード:磁気光学効果,磁気ホログラフィー,体積情報記録,立体ディスプレイ,磁性ガーネット,人工磁気格子
鉄などの強磁性体に直線偏波した光を入射すると,その偏光面が回転する.これを磁気光学ファラデー効果(1)と言う.可視域を含め透光性の良いイットリウム-鉄-ガーネット(Y3Fe5O12)では250°/cmの回転角(2)を示し,光アイソレータ素子などに利用されている.磁性金属表面での反射光でも同様の効果(磁気光学カー効果)が発現し,ビットごとにデータを記録再生する光磁気記録(3)の読出しに利用されてきた.
本稿では,「磁気ホログラムを用いた新しい光磁気応用[Ⅰ]」として,1µm程度の小さな画素(pixel)で磁気ホログラムを表示して空間に立体像を表示する立体ディスプレイについて,磁気ホログラムの記録媒体として利用している人工磁気格子とともに紹介する.次稿「磁気ホログラムを用いた新しい光磁気応用[Ⅱ]」では,QRコードのホログラムを磁性体中に体積的に書込み再生する体積磁気ホログラム情報記録について紹介する.
アモルファスTbFe(-TbFe)薄膜などの垂直磁化膜に熱磁気書込みを用いて光位相干渉じまであるホログラムを記録することができる.実際,ホログラムを記録した垂直磁化膜を偏光顕微鏡を用いて観察すると,図1に示すように,光位相干渉じまに対応した白黒(上下方向の磁化分布)の模様が見える.これが磁気ホログラムである.
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